冷めるまで色は分からない…理想の緑を追い続けたガラス作家の「オリーブ硝子」 香川

「オリーブ色」というと、どんな色を思い浮かべますか?
香川県の花=県花で県木でもあるオリーブとガラスを調和し、作品作りをしているガラス作家が高松市にいます。

オリーブ硝子のランプ

(中濱綾那リポート)
「ありました、薄いオリーブカラーでふんわりと落ち着くような灯りですね」

高松市のカフェ「ninoーco(ニノコ)」

天井から柔らかな光を届けるランプ。高松市のカフェ「nino-co(ニノコ)」です。

カフェ nino-co/久保晶子さん

(カフェ nino-co/久保晶子さん)
「青い庵治石のランプをお店のオープンの時に購入したんですが、この度3周年を迎える記念にと思って、オリーブのランプの購入を決めました。緑がお月様みたいですごく素敵だと言ってもらえている」

かがわ県産品コンクールで最優秀賞受賞 自然が生み出す「オリーブ硝子」

ガラスの透明感が際立つ緑のグラス。

中濱綾那リポート

(中濱綾那リポート)
「こちらは本物のオリーブの枝や葉っぱの色でつけた作品です。どちらも自然が生み出した色です」

高松市でガラス工房を営む、杉山利恵さん

作っているのは高松市でガラス工房を営む、杉山利恵さんです。

自然が生み出した緑色

2月13日から本格的にオリーブ硝子の展示販売を始めました。
この「オリーブ硝子(ガラス)」は、2020年のかがわ県産品コンクールオリーブ部門で最優秀賞の知事賞を受賞しました。

花瓶や鳥のオブジェなども作っていて、色の入れ方によって多種多様な緑色が生まれます。

ガラス作家/杉山利恵さん

(ガラス作家/杉山利恵さん)
「どの緑もすごくきれいで、それが紛れもなくオリーブから出ているっていう気持ちが、だんだん愛着に変わってきて」

オリーブの枝や灰を混ぜ一晩…冷めるまでガラスの”色”は分からない

杉山さんはインテリア会社や出版社で勤務した後、東京や富山のガラス造形研究所で3年間学び独立しました。

オリーブ硝子は、パウダー状のオリーブの枝や葉を燃やした灰や炭を混ぜ、一晩かけて作っています。

柔らかいうちに成形

(ガラス作家/杉山利恵さん)
「緑のガラスは熱を持っているときは茶色っぽく見えます。冷めてくるとだんだん緑に近づいてくるんですけれども」

濡れた新聞紙で形を整える

溶けたガラスが重力で垂れないように、よく回しながら形を整え、柔らかいうちに濡れた新聞紙で形を整えていきます。

多種多様な緑色が生まれるオリーブ硝子

(ガラス作家/杉山利恵さん)
「一晩かけて常温に戻すと、きれいな緑が出てきます」

一度は諦めた「オリーブ硝子づくり」…

実は杉山さん、一度はオリーブ硝子づくりを諦めました。
毎回きれいな緑を出し続けることができなかったからです。

ガラス作家/杉山利恵さん

(ガラス作家/杉山利恵さん)
「ちょっと成分が大きく違っていたり、やり方を少し変えてしまうと色が全くでないとか黒になったり。たまたまうまく条件があったんだろうと思うんですけれども、一度緑は出たので。それから出なくなった期間があって、一度緑は出ているから絶対出るはずだっていう、そこまでくると意地ではないんですけれども」

新型コロナウイルスの影響で展示会や引き出物の注文がなくなり、時間ができたのをきっかけにオリーブ硝子づくりを再開しました。

オリーブの色を追求し約5年、「やっと見つけた。出会えた」

ガラス作家/杉山利恵さん

(ガラス作家/杉山利恵さん)
「やっと見つけた。出会えた。ここにいたんだねっていう。きれいな色に感動するよりも先に、見つけたことの『安堵感』それが先でしたね。グラスを手に取った時に、香川の温暖な気候とか穏やかな風と空とか海とか、人ものんびりしているようなそういう空気が伝わったらいいなあというのがあるので」

イメージ

オリーブの色を追求し、完成まで約5年の歳月を費やしたオリーブ硝子。瀬戸内の風景を感じられる作品です。

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