最も有名なUMA(未確認生物)といえばネッシーだろう。英北部スコットランドのネス湖で目撃、撮影されており、生息していると信じられている。本紙も1990年代以降、「遂にネッシー生け捕り」「ネッシー愛と哀しみの出産」などと報じてきて、現在もネッシーらしきものが撮影されるたびに紙面で扱っている。そんなネッシーの正体として、新説が登場した。
ネッシーは長年、UMAファンの妄想をかき立ててきた。
ところが2019年、ニュージーランドのオタゴ大学のニール・ゲメル教授らの国際研究チームが、ネス湖の250か所から採取した水に溶け込んだ皮膚、糞、血などの“環境DNA”を調査。3000種類の生物がいることを突き止めたが、ゲメル教授は「申し訳ありませんが、プレシオサウルス(首長竜)などに関連する海洋爬虫類のDNAは見つかりませんでした。ウナギのDNAが非常に豊富にあり、ネス湖の怪物は巨大なウナギなのかもしれません」と発表した。
ネッシー写真を代表する1934年の「外科医の写真」が94年に「模型で、エイプリルフールの冗談のつもりだった」と暴露された時ぐらいの衝撃だ。
多くのUMAファンは「ネッシーは存在しないのか」と沈み込んだ。その後もネッシーらしき写真が撮影され、英メディアをにぎわせているが、かつての熱はちょっとさめているかもしれない。
そんな中、先日、米国のUMA研究家のケン・ゲルハルト氏が新著「ネス湖の怪獣とその他の水棲生物のエッセンシャルガイド」を発行した。同氏はビッグフット、チュパカブラ、狼男など長年、UMAを研究してきた。82年以降、ネス湖で徹底的な取材を行って、何千人もの目撃者にインタビューを敢行。「ネス湖には未知の生物がすんでいます。さまざまな生物研究家にもインタビューしてきましたが、ネッシーは古代クジラの可能性が高い」と指摘した。同著で古代クジラ説を掘り下げているという。
これまでネッシー写真には、恐竜時代のプレシオサウルスなど首長竜の生き残り説、水浴びしたゾウの鼻説、巨大ナメクジ説などさまざまな説が出ていたが、古代クジラ説は初めてだ。
オカルト評論家の山口敏太郎氏はこう語る。
「ネッシーが古代クジラであるという説は、なかなかリアリティーのある説ですね。他のUMAであればカナダのオゴポゴが、これまた古代クジラの生き残りではないかと言われています。哺乳類の古代クジラであれば、体温の調整も容易であり、現在でも生き残っている可能性が高いです」
ただし、これまで数多くの目撃者がいるが、ネッシーは潮を吹いたことがないようだ。クジラとは違うのでは?
山口氏は「古代クジラの中には潮を吹かないタイプのものもいるようです。また、ネッシーは湖と海を行ったり来たりしているという解釈もあり、その点でも古代クジラであれば納得がいきます。ネッシーの正体が明らかになる日も近いでしょう」と指摘している。