コロナ・ワクチン戦争で日本は世界で負け組になってしまう大失政か?国民目線で英断を下せ!(歴史家・評論家 八幡和郎)

「菅義偉首相は4月の衆院道2区補欠選挙などと合わせた衆院解散・総選挙を見送る意向を固めた。新型コロナウイルス対応が続く中、国民へのワクチン接種とも重なり、実施できる状況にならないと判断した」と各紙が報じている。

衆院議員の任期満了は10月21日だが、「総選挙のタイミングは、夏の東京五輪・パラリンピックが予定通り開催される前提(楽観的ですね)、①衆院道2区と参院長野選挙区の補選、参院広島選挙区の再選挙がある4月25日か、②東京都議選と同日の7月4日か、③五輪直後で9月の自民党総裁選の前か、④任期満了選挙」しかないというのが常識だ。

しかし、7月にワクチンを国民の7割ほどに接種できているというのは、よほど、楽観的に過ぎるだろう。そうすると、③でも④でもワクチン接種の最盛期になる可能性が強い。とくに、秋になって寒くなってくると第5波の流行の足音が不気味に聞こえているはずで、そんなときは、4月や 7月どころでない正念場になっている可能性はかなり強いが、もう任期満了だからコロナがどうなっていようが選挙にするしかない。

菅義偉首相も厚生労働族議員の田村厚生労働相には任せておけないと、河野太郎氏をワクチン担当相にして必死だが、ともかく、これまでの日本の政治の呑気さ加減は呆れ果てたものだ。

Photo by CDC

といっても、自民党のなかでもっと過激に問題意識をもって発言してきた人がそれほどいるわけでもなく、野党はだいたい、モグラ叩きでしかないPCR真理教に心酔して唯一の問題の根本解決方策と世界的に認められているワクチンや、マイナンバーカードの充実を通じたきめ細かい状況把握、そして、医療体制の改革といった根本的な対策の邪魔ばかりしてきた。

マイナンバーについては、私は一律給付金や持続化給付金なども含め、「マイナンバーカードを持たなければ、公的扶助も受けられないくらいの改革を断行して国民全員への普及を昨年末くらいまでに済ませるべきだ」、「台湾や韓国のマイナンバーカードの活用に倣った利用方法への道筋を早くつけろ」と言ってきたが、かなり分かった人でもそこまでしなくとも逃げた。

ワクチンについては、①国内メーカーによる開発はうまくいかず、②海外からの輸入も遅れそう、③国内での接種体制も不十分という何重苦にも喘いでいる。

①については、ファイザー、アストラゼネカ、モデルナのような力のある企業が国内にないし、また、それを生む土壌もない。一方、ロシア、中国、インドは従来型のワクチン開発を進め、すでに実用化し、品質もどんどん向上している。

欧州諸国でもロシア製の導入に踏み切る国も増えているし、世界一の平均寿命を誇る香港もシンガポールも中国製を導入しているので、品質が悪いなどというのはまっとうな考えとはいえない。

なにしろ、ロシア、中国、インドなどは、これまでのプロセスにはいい加減なところはあるが、拙速をもってよしとして走ることをやめず、いまや、高い国際的評価を確立している。

日本もロシア、中国、インド製の導入を具体的に検討すべきだし、これらの国との協力も大いにすればよろしい。中国が嫌いだからやせ我慢しているときであるまい。

アメリカやイギリスは自国企業に圧力をかけて数を確保しているし、イスラエルのように、ファイザーに接種後のデータを提供する約束でいち早く動いた国もある。

③についても、医師会のご機嫌をとりながら「協力いただく」というポジションだから、「彼らの利益を犯さないで可能な範囲」だろう。

これまでも、医療サイドの無責任な態度は厳しく批判してきたが、東京の緊急事態も感染者数などは減っているが、医療サイドがこれ以上受け入れられないと横になって寝てしまったので、国民は経済が疲弊して自殺者が出ようがなんであろうが、お医者様の安楽な生活を乱さない範囲で頑張ってくれるようお願いするしかないという悲惨な事態になっている。

PCR検査にしてもそうだが、ワクチン接種など欧米などの例をみても医者に手伝ってもらわなくとも薬局でも看護師さんだけでもその気になればできるのである。接種していいか医者が判断するといっても、検査したり、その人の健康データを詳しく検討するわけでなし、簡単な問診だけでしているのだから、薬剤師でも看護師でも少し研修を実施し、患者への問診を定型化すれば、問題があるときだけ医者の意見を求めれば十分だ。

コロナ対策について、厚生労働省があれができない、これができないということには、すべてもっともな理由がないわけでないことは分かっている。しかし、海外でやれて日本でできない理由など基本的にはないのである。

こんな非常時には、できない理由を探すより、できないわけでない理由を探すべきだ。非常時というのは、そんなものだし、たとえば、ワクチンを従来通り、医師にまかせるのでなく、薬局などでもできるようにすることなど、医師会の了解などとる必要ないのである。それでもって医師会がサボタージュするなら、それこそ、国民はお医者さんたちを許さないだろう。

photo by Daniel Schludi

ワクチンはいま医療従事者等優先で接種が進んでいるが、その範囲は、300万人以上というから(日本の総医師数は30万人台)というから、コロナ患者と接触可能性があるといえば、医療関係者はみんな優先らしい。これこそ酷いお手盛りだ。

しかも、ワクチン接種の手数料は1件あたり2,040円という。インフルエンザの予防注射も原価1,500円で、それに2,040円の手数料を上乗せして3,500円で我々はしているわけで、これも法外だと思うが、大量の国民がまとめて接種を受け、しかも、ワクチン代は無料提供なので経済リスクもないのに、ずいぶんといい商売だ。

全国の医師の半分がこの仕事に従事するとすると一人200万円ほどのあるバイトになるのではないか。

ワクチンは自分は嫌だからしないという人に強制はできないが、接種した人には、ワクチンパスポートを発行し、それを持たない人には、外食、会合への出席、イベントへの入場、公共交通機関の利用などを制限し、各種の公的扶助を受けられないようにするような方向に世界は動き始めている。

日本も少なくともすぐにでもそういう体制に移行できる準備をすべきだと思う。

日本の医療の問題点については、すでにこの欄でも問題点を指摘したが、お医者さまの横暴を放置してきたつけがここにきて亡国といってよい深刻な問題を生じさせているのは間違いない。 

それでは、どうするべきかは、2月26日発売の「月刊 Hanada 4月号」に「日本医療界を糺す抜本改革案」という小論を出した。ぜひ、ご一読いただければ幸いだ。

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