中学生がとび職体験 宜野湾の会社が自立支援に協力「仕事通して社会学んで」

 【宜野湾】足場工事などを担う「沖縄吉村組」(宜野湾市我如古、大城大翼(だいすけ)代表)が昨年、市立中学校の3年生6人を職場体験で受け入れた。卒業後の進路に悩む生徒に、将来的な自立支援を目的に市が実施している。市から協力依頼があった大城さんは、二つ返事で受け入れた。中卒でとび職になった大城代表(38)はかつての自身を生徒に重ねつつ、「危険と隣り合わせの仕事を通し、社会のルールを学んでほしい」と願う。

 市喜友名に生まれ普天間三区で青年会活動にも参加していた大城さんは、とび職の先輩に憧れ16歳でとびの世界へ。23歳の時、力試しに名古屋市の同業社「吉村組」へ入り技術を磨いた。約10年働き、2014年に沖縄へ戻り、18年から現在の会社を始めた。

 会社のホームページを見た市から20年10月に職場体験を打診され「下の子たちを育てたい」との思いから、同年10~12月に引き受けた。生徒は重さが十数キロある足場の部品の担ぎ方を教わったり実際の工事現場の雰囲気を味わったりした。

 職人に囲まれ緊張し、指示待ちだった生徒に「自分から聞くことが始まりだよ」と教えた。次第にコミュニケーションが増え、日に日に成長した。共に働く職人らも初心に戻り、良い影響があったという。体験した1人が、4月から同社へ就職する予定。

 大城さんは「社会に出ても、いろんなルールがあることに気付いてほしい」と話す。生徒は仕事を通して達成感を感じ、自信も付けた様子。大城さんが得たものも大きかったようで、「今年も生徒を受け入れたい」と笑顔で話した。市は「子どもたちが自分自身の将来に対し、深く考えるきっかけとなっている」と感謝した。

 (金良孝矢)

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