女性の多量飲酒で乳がんリスク1.7倍に 16万人の大規模調査で判明

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女性が多量飲酒の習慣を続けると閉経前に乳がんにかかるリスクが1.7倍になるとする調査結果を愛知県がんセンターがまとめた。過度の飲酒ががんの発症リスクを高めることは知られていたが、約16万人の日本人女性を対象にした初の大規模調査分析データとして注目される。

愛知県がんセンターがん予防研究分野(松尾恵太郎分野長)と国立がん研究センターの研究グループは、これまでデータがなかった日本人女性の飲酒習慣と乳がんリスクの関係を明らかにすることを目的に、全国の30~60代の健康な女性約16万人を対象に平均14年間追跡した8つの大規模調査(コホート研究)のデータを分析した。

その結果、約2200人が乳がんになっており、乳がんになったグループの飲酒率は79%、喫煙率は61%といずれも高かった。研究グループは飲酒習慣との関係をさらに詳しく調べた。飲酒の頻度については「飲まない」「機会があれば(週1日以下)」「時々(週1日以上4日以下)」「ほとんど毎日(週5日以上)」の4つに、また1日の飲酒量については、酒に含まれるエタノールに換算して「0グラム」「0~11.5グラム」「11.5~23グラム」「23グラム以上」の4つを、それぞれグループに分類して比較検討した。23グラムは日本酒で約1合、ビール約500ミリリットル相当とされる。

調査の結果、閉経前の女性では、23グラム以上のグループは0グラムと比べて乳がんになるリスクが1.74倍になっていた。飲酒の頻度では週5日以上飲む人は、飲酒習慣のない人より1.37倍リスクが高かった。飲酒の頻度、量ともに増えるほど乳がんになるリスクが高くなる傾向がみられた。一方、閉経後の女性については飲酒の頻度、量ともに乳がんリスクとの有意な関連は示されなかったという。

国立がん研究センターの2017年の統計によると、乳がんは女性の部位別罹患数の1位を占め、10万人当たり141人が罹患、生涯の罹患率は約11%。患者の進行度や悪性度などにより手術や薬物療法、放射線療法を組み合わせた治療法の進歩により10年生存率(20年公表、03~06年に診断された人調査)は約86%と高い。それでも19年に約1万4800人が死亡している。

厚生労働省は、世界保健機関(WHO)の調査などを引用して飲酒と食道、肝臓、大腸などのがんと乳がんとの関連を指摘している。しかし研究グループによると、日本人女性は欧米女性より一般的に飲酒習慣が異なる(飲酒量が少ない)ことなどから、日本人女性を対象にした大規模研究はなかったという。同グループは「乳がんを予防するためには若いころから飲酒は控えめにすることが重要」としている。