ソフィー・マルソーとのラブストーリー、フィービー・ケイツに浮気はしない! 1982年 3月6日 ソフィー・マルソー主演映画「ラ・ブーム」が日本で劇場公開された日

とてつもなく眩しかったスクリーン越しのソフィー・マルソー

昨年、雑誌『昭和40年男』で、ソフィー・マルソーを語る仕事を頂いた。とても楽しかったし、出来上がった本誌を拝見して、うまくまとめてくれてありがとうございます…… と思った。しかし、自分の力足らずの部分もあって、「あー、アレもコレも語るべきだったかもしれん……」という後悔もなくはなかった。

中学生の頃から海外の映画にのめりこんだ自分は、当然のように向こうの女優さんに夢中になった。当時、田舎の秋田では、外国から来た方とお会いする機会はゼロに等しい。そのせいもあって、スクリーン越しに見る、向こうの女優が、とてつもなく眩しかった。ここでは、そんな視点から、改めて自分とソフィーとのラブストーリーを語ってみようと思う。かなり誇張しているので、怒らんでくださいよ。

めんけー!! 映画「ラ・ブーム」を観た第一印象

1982年3月、降り積もった雪が溶け出す頃、中学を卒業したばかりのマナブはダイアン・レインとのリトル・ロマンスを終えて、呆けていた。ダイアン、俺とは全然会ってくれなくなっちゃったよ……。テイタム・オニールやクリスティ・マクニコルのようなリトル・ダーリングもいなくなってしまった。つまり、彼女たちの出演映画が日本に入って来なくなったのだ。映画雑誌にはグラビアが時々載ってはいたが、皆、自分の知らない間にどんどん大人になっていた。俺まだ15歳なんだけど…… という声は届きそうになかった。

そんな、ぼっちの春休みに見たのが『ラ・ブーム』だ。映画雑誌を読んでいたから、その映画に出ている、同い年のかわいらしい子のことは、なんとなく気になっていた、観に行こう…… というわけで映画館へ。動いている彼女を観た第一印象は、「めんけー!!」…… “めんこい” が訛った秋田弁が頭の中をかけめぐる。

『昭和40年男』でも語ったのだが、そのフランス人女優ソフィー・マルソーは、今まで恋してきた映画女優とは違っていた。ハリウッドの女優はとてもキラキラしていて、ときに遠い世界にいる人のように思えるものだ。たとえば、自分よりひとつ歳上のブルック・シールズは、青い珊瑚礁に泳ぎ着き、すでに裸になっていたり。成長速度が秋田県民とは違うのだろうと思った。が、ソフィーは違った。隣の家に住んでいてもおかしくないような、そんな親近感があったのだ。

フィービー・ケイツの誘惑に打ち勝った? 「ラ・ブーム2」の公開情報

そんなふうにソフィーと付き合い始めた。その年の夏、フィービー・ケイツとかいう女の子がパラダイスから全裸に近い姿でやってきたが、浮気はしなかった。秋になって、フィービーがまたも出現し、オッパイを出して「初体験リッジモント・ハイしない?」と言い寄ってきたときは、さすがにクラッと来たが、ここも持ちこたえた。

それもこれも、続編の『ラ・ブーム2』が翌年の春に公開されると映画雑誌で知ったから。いや、これは楽しみだ。巷では、あみんの「待つわ」が流れていた時期。うん、待つしかない。

ソフィー・マルソーが遠くに行ってしまったと感じられたワケは?

1983年3月、またまた雪が溶け出した頃、待ちに待った『ラ・ブーム2』がやってきた。「ソフィー、久しぶりだべ」などと思う間もなく、めんけー彼女がそこにいた…… のだが、何かが違う。顔つきが、まず微妙に違っていた。笑い方はやはりかわいいのだが、それが今風にいうとあざとく見えた。いや、それより何より、たった一年でメイクもしっかりキメている。つまり、急激に大人になっていたのだ。16歳のマナブは、大好きなあの子が、またも遠くに行ってしまったことに気づく。

それもそのはず、マナブには一年ほどの間だったが、ソフィーは『ラ・ブーム』から『ラ・ブーム2』まで3年を生きていた。というのも、『ラ・ブーム』がフランスで公開されたのは1980年。つまり、この映画は日本に2年遅れで入ってきた…… というワケ。3年も経てば、そりゃあ女子も成長する。

実際、リアルでも久しぶりに会った中学の同級生の女の子が、やたらと大人びて見えることもあった。男子は女子にはかなわない。そんなことを学んだマナブ、16歳の春。巷では、柏原芳恵の、「♪ 春なのにー、お別れですかー」…という歌が流れていた。

隣の女の子ソフィー・マルソーは、今やフランスの大女優

1984年、高3の秋、ジェニファー・コネリーという女子が、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』からやって来た。4歳年下。かわいいと思った。でも恋はしなかった。どうせ、すぐ追い越される。てか、そんなことを考えている場合ではなかった。マナブ、受験勉強をしろ!

その後、リアルの恋もたくさんして、その度に女性の成長力には驚かされた。運よく惚れられても、その先へとどんどん進んでいく前向きなバイタリティ。正直、自分のようなバカでオタな男は、どうやっても敵かなわない。五輪方面のお偉い方には、それが見えなかったのかどうかは知らないが、いまだ偉くもない自分でもそれはリスペクトするしかない。

ソフィーのその後の歩みは、ご存知の通り。激しい情念を体現したり、全裸になったり、ボンドガールを務めたりしながら、今やフランスの大女優に。隣の女の子は、遥か遠くに突き進んでいった。

2021年、マナブは54歳の春を迎えた。もはやスクリーンの中の誰かに恋したりはしない…… と言いたいところだが、映画でエル・ファニングを見ると、ときめいてしまうのは、嫁には秘密にしておく。

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