【追う!マイ・カナガワ】ワクチン接種 基礎疾患の自己申告、機能する?

ワクチンの瓶。表面に「Vaccine(ワクチン)」の文字が見える=17日、川崎市中原区の関東労災病院

 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、高齢者の次に接種対象となる基礎疾患保有者の把握や情報管理について、「追う!マイ・カナガワ」取材班に疑問の声が寄せられた。確かに基礎疾患はデリケートな情報だ。横浜市に対応を聞いた。

 投稿者は、フリーランスとして働く横浜市内の50代女性だ。がん患者でもある女性は今月20日、「基礎疾患保有者の情報を市や国は持っているのでしょうか。疾患を把握されるのは気持ち悪いです」と打ち明けた。

 その後、基礎疾患の有無は自己申告制とするとの河野太郎行政改革担当相の発言を受け、「疾患情報が把握されていないことに安堵(あんど)した」としつつも、制度が機能するのかと疑問視。「疾患情報をしっかり管理するか破棄する保証がなければ、怖くて手を挙げられない」との懸念を追加で送ってくれた。

 市は、厚生労働省の算定基準に基づき、市内の基礎疾患保有者を約24万人と推定している。自己申告制とは、具体的にはどう運用するつもりなのだろうか。

 市健康安全課によると、該当者はワクチン接種のタイミングで、会場か病院・診療所で予診票に記入し、基礎疾患保有を申告。その後に医師の診察を受ける。ワクチン優先接種の対象となる基礎疾患について厚労省は▽呼吸器の病気▽心臓病▽糖尿病▽重症心身障害─などで通入院中の人や、体格指数(BMI)30以上の肥満の人なども対象としている。

 うその申告などの可能性について、市の担当者は「性善説に立って考えるしかない。一人一人チェックすればワクチン接種が進まず、国が自己申告制と決めた以上、横浜市だけ診断書を出してもらうこともできない」。疾患保有を知られたくなくて接種を躊躇(ちゅうちょ)するケースも考えられるが、「医師には守秘義務がある。『周囲の人に知られたくない』と思う人もいるかもしれないが、接種は任意。個々で判断してほしい」とする。

 情報管理を巡る懸念には、「(インフルエンザなど)他の予防接種と同様、個人情報は処分するなどきちっと対応していく」と答えた。

© 株式会社神奈川新聞社