ジェネリック医薬品大手「日医工」に業務停止命令へ 厚生労働省と富山県

 75品目もの自社製品を自主回収する事態になっているジェネリック医薬品大手「日医工」(富山県)に、3月にも業務停止命令を行う見通しになった。立地自治体で監督権限を持つ富山県と厚生労働省が方針を固め、来月上旬にも決定する。

自主回収75品目 揺らぐジェネリックへの信頼

 ジェネリック医薬品大手「日医工」は、昨年4月から今年1月にかけ、合計で75品目もの製品について自主回収を行うなど品質管理体制を疑わせる事態になっている。

 今回の事態は昨年、医薬品の審査を行う国の機関PMDA(医薬品医療機器総合機構)が富山県内の自社工場(滑川市)での製造過程や品質管理に問題があると指摘したことがきっかけ。社内調査の結果、出荷試験で不適合となった製品について認められない手段で再試験を行って自ら適合としたり、一部製品について国が承認した製造工程と異なる工程で製造していたことが判明。同社は問題があった品目、ロットについて順次自主回収を進めているが、対象製品がこれまで75品目にものぼっており市場への悪影響が懸念されるまでになっている。なおこれまで健康被害は確認されていない。

 富山県と厚生労働省はこれを受け会社全体の体制に問題があるとみて、製造と販売両方について業務停止命令を行う方針を固めた。期間は1ヵ月程度とみられており、来月上旬にも処分が決定される見通しだ。これらの報道を受け、東証一部上場企業である同社の株価は連日軒並み値下げを続けており、26日も前日より7%以上も値を下げた。

 ジェネリック医薬品をめぐっては、小林化工(福井県)が製造する水虫薬に睡眠薬の成分が混入する事案が発生、これが原因で死亡事故まで起こっている。同社は今月に入り116日間の業務停止命令を受けているが、日医工にも業務停止命令が下れば、ジェネリック医薬品メーカーに対し相次いで2例目となる。

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