アルマ望遠鏡、電波観測でオリオン座の分子雲コア内に星の種を複数発見

©株式会社マイナビ

台湾・中央研究院 天文及天文物理研究所(ASIAA)は、オリオン座の分子雲内をアルマ望遠鏡を用いて詳細な観測を行った結果、低温分子雲コア「G205.46-14.56M3」の内部に複数のガス塊があることを発見、恒星の種であることを確認したと発表した。

同成果は、ASIAAのディペン・サフ博士研究員、同・シェンヤン・リュウ研究員、同・平野尚美研究員、国立天文台 野辺山電波観測所の立松健一所長、上海天文台のティエ・リュウ氏らを中心とする、台湾、中国、日本、韓国による国際共同研究チームによるもの。詳細は、天文学専門誌「Astrophysical Journal Letters」に掲載された。

星は、ガスや塵の集まった低温の分子雲から生まれてくる。そうした分子雲の中でも、特にガスや塵が国集まっている部分は「分子雲コア」という。星の誕生過程を知るには、星が誕生するもととなる「種」の性質を調べる必要があり、これまで天文学者たちはそれを分子雲コアの中に探し求めてきた。

しかし、種を見つけ出すのは容易ではない。まず種から星が生まれるまでの時間が非常に短いため、種の状態を観測できるタイミングが限られてしまう点がひとつ。そしてもうひとつは、分子雲コアの濃いガスや塵の雲を見通すことは難しく、その中に隠れた種を検出することそのものが困難であるという点だ。

国際共同研究チームは今回、オリオン座分子雲にある低温分子雲コアの観測を実施した。波長の短い可視光などでは、分子雲コアの塵やガスに阻まれて直進できないため、種を探し出すには適さない。そこで重要となってくるのが、可視光や赤外線よりもずっと波長の長い電磁波である電波をキャッチすることが可能なアルマ望遠鏡などの電波望遠鏡である。

ただし、電波望遠鏡なら簡単に探し出せるかというと、もちろんそう簡単にはいかない。観測対象が放つ電波を見つけ、その波長で観測しないとならないからだ。国際共同研究チームは、まず塵が放つ電波をとらえるため、ハワイの電波望遠鏡ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)を用いて観測を行った。JCMTはマウナケア山頂の望遠鏡群のひとつであり、国立天文台のすばる望遠鏡とはご近所さんということになる。

JCMTは冷たいガスが集まった領域を探し出すのに必要な感度を備えており、星の形成領域を探し出すのに適した望遠鏡である。こうして星の形成領域の候補を見つけ出したあと、国際共同研究チームは2018年から2019年にかけ、アルマ望遠鏡を使ってより詳しい観測を実施した。1000天文単位の解像度で、5つの分子雲コア内部でガスや塵が非常に密集した領域の探索が行われたのである。

その結果、G205.46-14.56M3と命名された分子雲コア内において、複数のガス塊があることが明らかとなった。これらのガス塊は高い密度を有していることから、星の種といえるという。これらのガス塊は至近距離にあってお互いに重力的に束縛していることから、将来的にそれらが星になれば、連星系ができると考えられるとした。

なお、G205.46-14.56M3の内部構造がどのように作られたのかは、まだはっきりとしていない。おそらく、ガスの動き、重力、そして磁場が複雑に絡み合って作られたものと考えられるという。今回の観測では、ガスと塵の分布のみが判明したが、ガスがどのように動き、磁場がどのように分布しているのかを明らかにすることができれば、星の種の形成メカニズムを解明することができるとしている。