菅首相が“コロナ会見中止は山田内閣広報官隠し”と追及されて正気を失い逆ギレ! 国民の命より保身を優先する棄民政権の正体が…

首相官邸HPより

菅義偉首相が国民の命と安全を守ることを放り出し、我が身を守ることを優先させた。本日26日夜、菅義偉首相が大阪、兵庫、京都の関西3府県と愛知、岐阜の中部2県、福岡県の計6府県の緊急事態宣言を先行して月内解除することを正式に表明したが、いつもの記者会見をおこなわず、ぶら下がり取材で済ませてしまったのだ。

緊急事態宣言の発出および解除の責任を負っているのは総理大臣だ。なのに、都市部で宣言解除をおこなうというのに、記者会見を開かない──。この異常事態の背景にあるのは、言うまでもなく、会見の司会進行役を務めている山田真貴子内閣広報官が菅首相の長男ら利害関係者から高額接待を受けていたことが判明したにもかかわらず何ら処分を下すことなく「続投」させた問題だ。

もし会見が開かれれば、渦中の人物が司会進行をおこなうという前代未聞の光景が繰り広げられたわけだが、菅首相に対して追及がおこなわれるだけではなく、司会進行役の山田内閣広報官にも質問が飛ぶ可能性も十分にあった。そうした事態を避けるために会見を取りやめたのだ。

実際、会見を主催する内閣記者会は本日26日、首相官邸に対して正式な記者会見を開くことを要請したが、「宣言の解除に当たっても、常に総理会見が行われていたわけではない」などとしてこれを拒否したのである。

さらに、ひどかったのは菅首相のぶら下がり取材だ。記者からの「なぜ会見をおこなわなかったのか。山田内閣広報官のことが影響したのではないのか」という質問に対し、菅首相は腹立たしそうな態度を隠しきれない様子で、まずこう語った。

「山田広報官のことはまったく関係ありません。現に昨日、国会で答弁されてきたことも事実ではないでしょうか」
「記者会見のタイミングについては、最後までの状況を見極めた上で判断をおこなったのちに緊急事態宣言の全体について、きちんと会見をおこなべきだと。そういうふうに考えています。現に昨年の関西圏を解除したときはおこなっておりませんで、このようなかたちで、ぶら下がりで対応している。このことも事実であります」

●菅首相が「私も時間がある」「同じような質問ばかり」と逆ギレしぶら下がり終了

まったくふてぶてしいにも程があるが、これには記者からも質問が集中。「会見をやらずとも国民の協力を得られると思うのか」などと質問したのだが、すると菅首相は逆ギレしたように、こう言い張ったのだ。

「きょう、こうしてぶら下がり会見をやっているんじゃないでしょうか。先程は、まさに、日本全体の見通しを明確に申し上げることができるような状況のなかで、ここは会見をおこなうべきだというふうに思っています」
「必要なことには答えているんじゃないでしょうか」
「東京を中心とする首都3県、1都3県、ここがまだ、極めて厳しい状況のなかで、解除の会見をすることによって、まさにこの首都3県……首都4……1都3県についてはですね、3月7日の期日までに解除できるように徹底して、いま対策をおこなうことが必要だというふうに思ってますんで、そういうなかで、全体を見た上で、会見をすべきだと判断しました。いずれにしろ、近々そういうときが来るわけですから」

しかも、その後ものの数問に短く答えただけ、さらには朝日新聞の記者が声をあげているのに、菅首相はそれを無視して「よろしいですか?」とその場を立ち去ろうとした。記者から声があがったために菅首相は仕方なく「最後にしましょう」と言って追加の質問を受け付けたが、「正式な会見とぶら下がりの違いは何だと考えているか」という質問に対して「それはみなさんが考えることじゃないですか」と言い放ち、こうつづけたのだ。

「まだ首都圏で解除の方向性が出ていないわけでありますから、そういうなかで内閣総理大臣として、全体のなかでですね、発言はやはり控えるべきだと思いますよ?」

人口も多い都市部を含む6府県の宣言を解除するのだから、6府県の住民に向けて今後の対策を説明すること、まだ解除されていない首都圏で今回の解除によって緩みが出ないようメッセージを発信することが必要かつ重要なのは当然のことだ。なのに、首都圏が解除されていないことを強調し、“正式な会見での発言を控えることは当然だ”などと言い募ったのである。

そして、「今度の会見では質問を打ち切ることなく最後まで答えてもらえるか」という質問に対しては、こう述べた。

「いや、私も時間がありますから。でもだいたいみなさん出尽くしてるんじゃないですか。先程から同じような質問ばかりじゃないでしょうか」

会見をおこなわなかったことの納得できる答えをしないから質問を重ねているのに、「同じような質問ばかり」などと言い、菅首相は記者の前から立ち去ったのだった。

●黒川検事長問題の追及を嫌がって会見を放り出した安倍前首相のケースを言い訳に持ち出した菅首相

国民への説明責任を果たす場を放り出しておいて、この態度──。舐めきっているとしか言いようがない。最悪なのが、菅首相が会見を開かなかった言い訳にあげた「昨年の関西圏を解除したときは(会見を)おこなっていない」という発言だろう。

たしかに、昨年4月7日に安倍晋三・前首相が全国一斉で緊急事態宣言を発出した後、5月21日に関西3府県の宣言を解除する際に会見をおこなわず、ぶら下がり取材で済ませている。このときはちょうど黒川弘務・東京高検検事長が賭けマージャン問題で辞表提出するタイミングと重なっており、安倍前首相も全国に生放送される会見でその問題の追及を受けるのを避けるために我が身可愛さで会見を放り出したのである。

ようするに、その「前例」を利用して、菅首相も国民への説明よりも保身に走っただけなのだ。「悪しき前例主義を打破する」という掛け声は一体何だったのか。

しかも、今回の菅首相の会見を放り出しは昨年のケースよりもっと罪が重い。というのも、今回の宣言解除は昨年の解除時以上に疑問の声があがっており、菅首相の説明が求められる問題が山積み状態だからだ。

まず、今回宣言が解除されるなかでも不安視されているのが福岡県だ。福岡県は他の府県とくらえてもいまだ病床使用率が高く、専門家などから先行解除に対して慎重な意見が出ていた。そうした慎重論を無視し、菅首相は昨日、福岡県も解除する方針を固めたのだ。この病床使用率の高さを、菅首相はどう考えているのか。

さらに大きな懸念を生んでいるのが、変異株の問題だろう。昨日25日の時点で国内で確認された変異株の感染者は200人を超えた。変異株の種類も増えている上、変異株は感染力が高いとされており、実際、昨日発表された神奈川県在住の変異株に感染した男性は〈県内での市中感染の可能性が高い〉という(神奈川新聞25日付)。変異株の市中感染が広がっている可能性が濃厚ななか、都市部での宣言解除をおこなうのだから、変異株の調査と封じ込め策について、菅首相にはしっかり説明する必要がある。

●早すぎる宣言解除、変異株…コロナ課題山積なのに、国民の命より保身を優先した菅首相

また、不安を呼んでいるのが、解除のタイミングの問題だ。「たった1週間前倒しして意味があるのか」という声もあがっているが、重要なのは、これから行楽や歓送迎会のシーズンに入るということ。昨年の3〜4月には歓送迎会などでクラスターが発生して感染者が急増しているからだ。実際、宣言解除によって感染対策がおろそかになる可能性を政府分科会も指摘し、「リバウンド防止策」を提言。卒業旅行や謝恩会、歓送迎会を控えることや、花見は宴会なしでと呼びかけている。今回、都市部で宣言解除をおこなうにあたって、生中継される記者会見で、菅首相自ら国民に対し、こうした呼びかけをおこなうことが重要なのは言うまでもない。

このほかにも、縮小されてきた積極的疫学調査の今後やワクチン接種の時期や見通し、第4波に備えるための病床確保、迫っている中小企業に対する融資の返済期限、さらなる支援策など、菅首相が国民に向けて説明すべき問題は挙げだせばキリがないほどにあるのだ。

にもかかわらず、国民への説明、情報発信というもっとも重要な機会と、高級接待問題が判明したのに続投させた山田内閣広報官の問題を天秤にかけて、菅首相は後者を優先させたのである。

会見を中止しなくてはならない問題を引き起こした人物こそ辞めさせるべきなのに、逆に国民への説明責任の場である会見のほうをやめてしまう──。ようするに、菅首相は国民の命の安全を守るということよりも、長男への便宜供与の疑いがある山田内閣広報官、そして自分自身を守ったのだ。

そもそも、あの安倍前首相でさえ、緊急事態宣言発出中には、宣言解除のときを除いて2回、会見をおこなっていた。しかし、菅首相は宣言の追加や解除のときを除くと1度も会見をおこなっていない。この事実をとっても国民軽視の姿勢ははっきりとしているが、今回の国民を捨てた自己保身は、あまりに露骨すぎる。コケにされたメディア側も、もっと大きく批判すべきだ。
(水井多賀子)

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