【J1】川崎・三笘薫のドリブルはなぜ相手抜けるのか 前園氏が指摘する元スター選手との共通点

開幕戦でも得意のドリブルを披露したMF三笘薫(左)

今季のJリーグで最も注目を集めているJ1川崎のMF三笘薫(23)が誇る変幻自在のドリブルの秘密とは――。昨季大ブレークした三笘は26日に行われた横浜Mとの開幕戦(等々力)に先発し、2―0の勝利に貢献。最大の武器であるドリブルも随所に繰り出したが、なぜあそこまで相手を抜けるのか。本紙評論家の前園真聖氏(47)がズバリ分析した。

川崎は自慢の攻撃陣が序盤から横浜Mを圧倒。ベテランMF家長昭博(34)が前半21分に左足ボレー、43分にヘッドで2ゴールをマークする活躍を見せた。後半は横浜Mに攻め込まれる場面もあったが守備陣の奮闘で見事に完封。攻守がガッチリかみ合って、連覇へ向けて最高のスタートを切った。

鬼木達監督(46)は「ホームの等々力で選手が今持っている力を存分に出してくれた。ここから一つひとつ勝ち進んで行きたい」と力強く語り、目標に掲げる全タイトル制覇へチームの仕上がりに自信を見せた。

絶対王者となりつつあるチームでエースとして期待されるのが三笘だ。ルーキーだった昨季はJ1新人年間最多得点記録タイとなる13ゴールをマーク。その後も天皇杯決勝で決勝ゴール、今季の開幕を告げる富士ゼロックス・スーパーカップのG大阪戦でも2ゴールと勢いはとどまるところを知らず、今年は日本代表や東京五輪代表での活躍も確実視されている。

そんな俊英ストライカーが最大の武器とするのはドリブル。この日もハーフライン付近から相手を抜き去るなど何度もドリブルから決定的な場面をつくり、そのたびに観衆からどよめきが起きた。

百戦錬磨の猛者が揃うJ1の舞台で、なぜ相手は分かっていても止められないのか。現役時代に自らも日本を代表するドリブラーとして鳴らした前園氏は「特別なフェイントがあるわけじゃない」とした上で三笘のドリブルの特徴をこう解説する。

「スピードの緩急があり、足のスライドがあってボールタッチも細かいですね。独特のリズムで相手の対応をしのぎます。スピードがそこまであるようには見えませんが、ストライドがあって、ボールの置き所やボディーバランスも良いので、相手DFからすると嫌でしょう」。抜群のスピードや派手なフェイントなどはないが“確実に抜く”ための多彩な技術が凝縮されているのだ。

そしてブラジル代表のエースとして活躍したスーパースターとの類似点も「もし誰かに例えるとするなら、MFカカですね。非常に直線的で常に仕掛け、切り返しがうまくフィニッシュの精度も高いですからね」と指摘。すでに世界レベルに到達していると言ってもいいドリブルで今季もファンを魅了してくれそうだ。

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