“登録済未使用車”って何!? 新車なの? 中古車なの!?【いまさら聞けないクルマ購入術】

街道沿いの販売店やインターネット上で「登録済未使用車」や「届出済未使用車」というものを見かけることがあります。中古車検索サイトでヒットすることもありますが、中古車でありながら未使用というのは一体どういうことなのでしょうか?いまさら聞けないクルマ用語「登録済未使用車・届出済未使用車」について探ります。

ダイハツ 新型タント

“登録済未使用車”“届出済未使用車”って一体何!?

登録済未使用車は“限りなく新車に近い中古車”!?

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そもそも自動車というのは、車検証とナンバープレートを発行してもらわなければ一般公道を走行することができません。この諸々の手続きのことを「登録」や「届出」と呼び、登録済や届出済というのはすでにナンバープレートが装着された車両のことを指すというわけなのです。

ナンバーが装着されているだけで実際にクルマとして使用されておらず、状態としては新車とほとんど同じ。加えて一度登録されているため、厳密には中古車の扱いとなり、新車価格よりも手頃に手に入れるとあって、登録済未使用車は人気の高いジャンルとなっています。

納車まで時間のかかる人気車種などは数か月待つことも珍しくありませんが、登録済未使用車であれば、すぐに乗り出せるというメリットも見逃せないポイントと言えるでしょう。

登録済未使用車のメリットとデメリットをおさえておこう

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とはいえ、登録済未使用車はメリットばかりではありません。通常、新車(乗用車)は登録した日から3年間の車検有効期限がありますが、すでに登録済の車両はまるまる3年間の車検期間とはなりません。

また当然ながら新車とは異なりますから、グレードやボディカラーを自由に選んだり、メーカーオプションなどを追加オーダーすることもできません(ディーラーオプションは装着可能)。

そして、一部の電気自動車や燃料電池自動車のように補助金が出る車両や、新車時は減税・免税対象車であっても中古車となるため対象とならない点も注意が必要です。

逆に言うと、自分が希望するグレードやボディカラー、オプションが備わっている登録済未使用車があったとすればかなりお買い得ということが言えます。前述したように補助金や減税・免税措置は受けられませんが、ほとんどの場合、その恩恵を受けられなかったとしてもそれ以上に車両価格が下がっているため、トータルの出費は抑えることができるでしょう。

なんで登録済未使用車が生まれるの?

営業ノルマと奨励金が登録済未使用車を生み出す!?

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自分の希望する仕様が見つかればデメリットよりもメリットの方が大きい登録済未使用車ですが、そもそもなぜそんなものが生まれるのでしょうか?

実は新車の販売台数のカウントは、その期間に何台生産されたかでも何台注文を受けたかでもなく、何台登録されたかでカウントしています。これは販売店でも同様で、登録が完了して始めて“1台売れた“とカウントされることになります。

販売店も商売ですから、毎月「○○台販売する」という目標に向かって日々営業活動に勤しんでいるわけですが、場合によってはこの目標値をクリアすることで、メーカーから奨励金が出ることがあるのです。

決算セール期明けの4月に登録済未使用車が増える理由とは

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特に決算期と呼ばれるタイミングではその傾向が強く「決算セール」で大幅値引きが狙えるのも、この奨励金があるからこそ。それでも目標台数に届かない場合、最終手段としてディーラー名義で一度在庫車を登録し、目標台数をクリアするという手段が採られます。

その結果、登録はされたものの本当のオーナーが決まっていない「登録済未使用車」が生まれるというわけなのです。

またレアケースではありますが、新車は「完成検査終了証」というものが存在し、発行後9カ月以内であれば、車両を車検場に運ぶことなく登録することができるのですが、長期在庫でその期間が満了してしまいそうなときは、手間がかかることを考慮して一旦登録する、というパターンも存在します。

展示車や試乗車は登録済未使用車になるの?

ナンバーを登録し公道を走行したクルマはみな“中古車”である

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販売店の店頭に展示される車両や、購入を検討するユーザー向けの試乗車などもディーラー名義の車両ということになりますが、試乗車は少なからず公道を走行しているため、未使用車とはなりません。

また、展示車も走行こそしていないものの、販売店に訪れた不特定多数のユーザーが触れたり乗り込んだりした個体となり、未使用とは言えないためこちらも未使用車として販売されることはほとんどないと言えるでしょう。

これらの個体は、後々のトラブルを避けるためにも展示車や試乗車であったことを明記して販売されることが多いので、登録済未使用車とは別物と考えて問題ありません。

いずれにしても気になる点があれば販売店に確認し、納得した上で購入するのがベスト。決して安い買い物ではありませんから、気になる点はガンガン質問してみることをオススメします。

[筆者:小鮒 康一]

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