首振りDolls、ニューアルバム『ドラマティカ』のオフィシャルインタビューが到着!

首振りDolls

3月17日、首振りDollsが待望のフルアルバムをリリースする。2019年5月22日にリリースした『アリス』から1年10ヶ月ぶりとなる今作は、前作以上に首振りDollsというバンドの個性を広げた、発展途上にある勢いを感じさせる1枚となった。

コロナという感染症に脅かされる時間がこんなにも長く続くことになり、ライヴという生き甲斐を奪われた彼等が、その中で生み出した楽曲たち。『ドラマティカ』と名付けられたこのアルバムの中にある1曲1曲は、“このとき”に形として残される運命であったかの様な存在感を放つ。激しく、そして明るくもあり、どこか切ない。ナオ、ジョニー、ショーンが生み出した『ドラマティカ』という世界を紐解いていこうと思う。

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『ドラマティカ』で それぞれがやりたいことを追及できた

――『アリス』から1年10ヶ月ぶりとなる訳だけど、今作『ドラマティカ』を作る上での構想は?

ジョニー:“こういうアルバム作りたいね!”っていう感じで作り始めたアルバムではなかったけど、作る上での構想となると、半年とか1年くらいだったんじゃないかなと。新曲をいろいろと作り始めたのが、「リトルサマーベリーオレンジミルク」を作ったあたりだったから、半年? もっと前になるのかな?

ナオ:うん、半年よりももっと前になるね。アルバム1曲目の「Welcome to Strange Night」がアルバム内では一番古いと思うけど、「Welcome〜」が出来たのがもう丸1年前だからね。

ショーン:たしかに、「Welcome〜」を作ったのは、もうそれくらい前の話になるからね。

ジョニー:アルバムのレコーディングをしたのは、去年の8月なんだけど、曲を作り始めたのは、もっと前からだったもんね。

――「リトルサマーベリーオレンジミルク」のMVを撮ったのが去年の2月だったからね。

ナオ:そう。そこから本格的にコロナの感染が広がって、ライヴが出来なくなってしまったからね。3月の3連休(20日21日22日)にライヴをやる予定だったのに、それも全部出来なくなってしまって。その3daysは結局無観客という形でやったんだけど、当初、22日の最終日は全部新曲だけでセットリストを組むって公言していたのもあって、その前から新曲を作り貯めていたんだよね。そこで作った曲達も多くあって。「Welcome to Strange Night」も「バケネコ」も「SMILE」も「誰そ彼」も、その頃に作ったかな。

ジョニー:「サボテン」もそのときだった。

ナオ:無観客ライヴを収録した音源『THE ROCKY GLAM DOLL SHOW 』では、一部新曲を披露しているんだけど、あれくらいの時期に新曲作りにすごく力を入れていたんですよ。俺の中では、そのときに作った曲のよりすぐりが、今回の『ドラマティカ』に入っているっていう印象かなと。

――まだそれ以降新曲は生まれてきていたからね。

ナオ:そう。今回のアルバムには未収録の音源もまだまだあるんだけど、今回はこのバランスがいいんじゃないかなっていうことで。

――ジョニーは今回曲数を10曲から11曲に抑えたアルバムにしたいっていうのを最初から言っていたよね?

ジョニー:そう。そこはね、結構早い段階から自分の中にはあって。自分の中で、名盤と呼ばれるアルバムって2枚目に多い気がしてて。そこにこだわりたかったというか。

――首振りDollsのフルアルバムというと、インディーズ1stアルバムは『首振人形症候群』で、それは、2019年12月16日に『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』としてオフィシャル通販+ライヴ会場限定で再発された作品で、今回『ドラマティカ』がリリースされる3月17日に配信がスタートされるものなんだよね。そして、メジャー1stアルバムは2018年4月25日にリリースされた『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』、メジャー2ndアルバムが2019年5月22日リリースの『アリス』。ショーンが加入してからのフルアルバムは『アリス』からということだから、『ドラマティカ』は、現メンバーでの2枚目となる訳ね。

ジョニー:そう。前作の『アリス』は、ショーンが入りたてで、ありとあらゆる挑戦だらけだったんですよ。とにかくバタバタだった。加入して1ヶ月でレコーディングに突入したから、加入と同時に新曲を頑張って作って詰め込んだ感じだったんで。そういう意味で言うと『アリス』は1stアルバムでもあるから、初期衝動が詰め込まれている感じと言うか。それもあって14曲くらい入ってるんですよ。とにかく、初期衝動を余すことなく入れたかったから。

――ジョニーの中では、名盤と言われる2枚目を作りたかったんだね。

ジョニー:そう。今のメンバーになっての2枚目だからね。それもあって10曲とか11曲にしたかったんです。1枚目よりも成長しているアルバムにしたかったし、いろいろやってみた1枚にしたかった。

――なるほど。ショーン的にはどう? 『アリス』のときとの変化を感じる部分は?

ショーン:『アリス』のときは、今、ジョニーさんが言ったみたいに、自分的にも探り探りのところはあったんです。

ジョニー:そうだね。まだ『アリス』のときは、3人での曲作りも、やり方が完成していなかったところがあったからね。今回の『ドラマティカ』で、やっとそれが見えてきたってのはあるかな。それぞれのペースだったり、作り方だったりが分かったというか。今、発売を目の前に言うのもなんだけど、次はもっと良いものが出来る自信がある。それくらいしっかりと、今の3人の基盤が出来たって感じていて。バンドにとってはすごくいいことだなって感じてますね。

ショーン:『ドラマティカ』は、本当に曲によって、3人の個性がすごく出ているなって思いますね。よりそれが色濃くなった感じがしていて。3人それぞれがやりたいことを追及出来てるというか。

“この3人で首振りDolls”に なってる自信がある

ナオ

――ショーン的にも「SMILE」では、自分の中でやりたいと思っていた構想がしっかりと具現化出来た作品になったって言ってたよね。

ショーン:そうですね。ナオくんとジョニーさんが、俺のやりたいことをすごく理解してくれるので、そこの力も大きいと思います。俺がどんな曲を持っていっても、ナオくんとジョニーさんがやれば、ちゃんと全部首振りDollsになるんですよ。そこの絶対的な基盤があるから、安心してやりたいことを提示出来るというか。2人が俺のやりたいことを本当に理解してくれて、取り入れてくれるので、「SMILE」みたいな感じの曲を持っていっても、ちゃんと俺のやりたい音になっているし、かつ、首振りDollsらしくもあるっていう作品に仕上がっていくんです。『アリス』のときは、“こんなこともやっていい?”って聞きながら作業を進めていたりもしたので。

――そこがもう阿吽の呼吸になってきたと。

ショーン:ですね。

――「SMILE」は、ショーン的にいつ頃に自分の中で出来上がっていたの?

ショーン:いつくらいだろう?

ナオ:結構早かったと思うよ。

ショーン:早かったかもね。アルバムの中では相当早い段階で出来てたかも。

ジョニー:「Welcome to Strange Night」よりも、もしかしたら早かったかも。1番早い段階からデモはあったかもね。

ショーン:そうかもです。1年は経ってるかも。自分の中でも温存した感じしますからね。

ナオ:2019年12月16日にリリースした『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』には6曲の新曲が入っているんだけど、そのときのレコーディングでは既にあったかも。

ショーン:あったかも!

ジョニー:そう思うと、すごく前から今回のアルバムに向かってたってことになりますね。

――「SMILE」のモチーフは何だったの?

ショーン:混沌です。この曲の歌詞はナオ君なんですけど、世の中の不条理をテーマに書いてもらったんです。タイトルを“SMILE”にしたのは、笑顔という意味だけじゃなく、泣き笑いだったり、何かを企んでる笑だったり、いろんな意味での“SMILE”を含めているんです。

ジョニー:映画でいうと『ジョーカー』みたいな感じ?

ショーン:そうそう。

――今作に収録されている楽曲が生まれていった過程を聞いていると、前作以降から現在までの日々の成長過程のような感じだね。

ジョニー:うん。そんな感じかも。

ナオ:でも、本当にそうかも。ショーンが持ってくる、ドッタドッタっていう“祭りビート”っていうリズムを、俺はショーンが入る前には叩いたことがなかったんだけど、ショーンが首振りDollsに持ち込んだ横ノリのビートに俺自身が慣れたというのも大きな変化だと思うんだよね。そのリズムをより自然に叩けるようになったことで、やれる曲の幅も広がったし。ショーンがさっき“ナオくんとジョニーさんがやれば、ちゃんと全部首振りDollsになる”って言ったけど、そこはね、もう“この3人で首振りDolls”になってる自信がある。昔の首振りDollsには、たしかに横ノリもファンキーさも無かったけど、今の首振りDollsには、もうそこは欠かせないものになってますからね。

――ナオ的には、そういうビートが自分の体の中に入ってきたことで、作る楽曲に変化が生まれたということはあったの?

ナオ:首振りDollsとしては、結成から何年も経っているけど、このメンバーになってからはまだ2年で。ショーンと一緒にやるようになってから始まったばかりでもあるから、まだ全然遊び足りなくて。もっといろんなこと出来るだろうなって思うから、いろんな曲をやるんですよ。いろんなことをやりたいっていう欲求がすごくて。1枚目が初期衝動って言ってたけど、俺の中では、まだまだずっと初期衝動のままで。初期衝動の最中っていうのかな。『ドラマティカ』で成熟したというより、本当にまだまだって感じ。本当に、日々の成長過程をまとめた感じというかね。もっと面白いこと出来るし、まだまだ楽しくてしょうがない。

――まだやってないことたくさんあるからね。ジョニーとショーンの合作も、まだやってないし。

ジョニー:それはね、今、まさに仕込んでますんで。考えております。温めております!

――おぉ! ショーンはもう聴いた?

ショーン:いや、まだです!

ジョニー:まだ誰にも聴かせてない(笑)! まだ俺の中だけで温めております! そのうちショーンに、“こういうイメージなんで、ベースを付けて下さい”ってお願いする日が。そう遠くはないと思うので、よろしくです!

ショーン:あははは。いつか突然?

ジョニー:そう! 今まで自分が作ったことのないタイプの曲に挑戦してるんで。横ノリというか、アッパーな感じというか。

――それは楽しみ(笑)。

ナオ:「黒い太陽」を俺とショーンで作ったときは、リズムからメロディからコード進行から、全部2人で決めたって感じだったから、ジョニーとショーンが作るときも、そうやって作ったら面白いと思うよ! ゆっくり酒でも飲みながら。

ジョニー:そういう感じでもいいけど、ステップアップする為にも、パソコンでデータのやり取りで曲作ってみようかなと。

ショーン:おぉ〜〜〜。現代な感じの音作り!

――今までにはない感じ?

ジョニー:もちろん、初です! アナログなことしかやったことない俺たちですからね。まぁ、そのアナログな部分はずっと無くしたくはないとこではあるけど。

――チャレンジすることはいいことだと思うよ。でも、スタジオで実際に音をぶつけ合って、ジャムりながら楽曲を作っていくって、すごくバンドらしい行為だと思うし、そこは無くして欲しくないと思う。時代に逆行してる感じはするけど、やっぱりバンドってそうあるべきでもあると思うからね。今回のアルバムの中でいうと「ガタ」とかは、まさにそんな感じで生まれた1曲でもあった訳でしょ?

ジョニー:そう。俺たちはそういう曲作りが主流だったからね。「ガタ」みたいな曲は、作ろうと思えば、いくらでも作れる。俺的には、リフのイメージはナンバーガールです!

――ハードコアとかパンクをイメージさせる1曲だよね。「ガタ」の歌詞のモチーフは?

ナオ:「ガタ」の歌詞には正直モチーフとか意味は無い。ただ、“ガタガタガタガタ”って言いたかっただけ(笑)。あとは、サビで、シーナ&ロケッツ的な、“たまらない!”っていうのが言いたかっただけ! 本当にこれぞ衝動で作った曲。

ジョニー:そこはやっぱり失っちゃいけない個性でもあると思うから、そこはやり続けながらも、パソコンでもやってみようかなと。

――そこでどういう化学変化が生まれるかだよね。

ショーン:お客さんから“ジョニー! それはやめとけ!”って言われるかも(笑)。

ジョニー:あははは。そういうのもあり(笑)。

ショーン:いろいろと試したいと。

ジョニー:そう。“ジョニー! それはやめとけ!”って、ちょっと言われたい(笑)。U2とかプライマル・スクリームとか、長いバンドでもよくあるけど、めちゃくちゃロックだったバンドが、いきなりハウス系のアルバムとか出したりして、“え〜っ!? どうした!? とんでもないアルバムだな、おい!”っていうのあるでしょ(笑)。ゆくゆくは、そういうアルバムも出してみたいなと。

ナオ:あははは。めちゃくちゃ自分勝手なアルバムね(笑)!

ジョニー:そう。一部のファンしか認めてないアルバムね(笑)。

ショーン:一部のファンからはめっちゃ好評! みたいなアルバムね(笑)。

――そういうのありだと思うな。作り手としては、いろんな遊びを投下してみたいもんね。

やっぱロックというのは軸にあるから、そこからは絶対に外れない

ジョニー・ダイアモンド

――そういう意味でも『ドラマティカ』は、すごく幅広い選曲だったと思う。インディーズ1stアルバムの『首振人形症候群』からは想像できない変化を感じるからね。でも、そこの基盤が全く失われた訳ではなく。『ドラマティカ』から首振りDollsを知ってくれた人が、『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』を聴いてくれたとしても、そこに絶対的な基盤とバンドの軸を感じてくれると思うからね。

ジョニー:基本、やっぱロックというのは軸にあるから、そこからは絶対に外れはしないから。

ナオ:『首振人形症候群』の曲は、俺の曲が多いんだけど、やっぱりそこの色は今回のアルバムに入っている「散り散り」や「バケネコ」なんかは、やっぱりすごく自分っぽいと感じてもらえる曲だと思うし。新しいことをやりたいっていうのも自分の中にはあるけど、やっぱ何処かで、“首振りDollsらしさ”というのは自分の曲が担っている部分が大きいと思っているから、そこを意識して選んだのが、今回の「散り散り」「バケネコ」「誰そ彼」だったりしたから。

――「散り散り」「バケネコ」は、ナオが作るいなたい首振りDollsの典型ではあるよね。

ナオ:「散り散り」は、“結局ひとりぼっち”っていう曲。ちょっと寂しい気持ちを歌った曲。ひとりぼっちの状況を歌った感じというよりは、大勢人が居る中で、何故か孤独を感じる様というか。

――激しさを持った曲だけど、不思議とそこには寂しさがあるよね。

ナオ:そう。より寂しさが際立つ感じかな。「バケネコ」のモチーフは、恋と猫。恋と猫を使って作文を作って、恋と猫を入れ替えたんです。寺山修司的な技法です。

――「誰そ彼」も、『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』の中でいうと「月のおまじない」、『アリス』の中でいうと「BROWN SUGAR」と通ずる世界観だし。

ナオ:うん。アルバムにはとびっきりのバラードが必要だからと思って「誰そ彼」を選んだんですよね。

――「誰そ彼」って、こういう字を書くんだね。

ナオ:昔って、街灯がそんなに明るくなかったから、遠くから歩いてくる人がよく見えなかったんだって。それで、誰そ彼って言うようになったんだって。そこが黄昏時の語源みたい。“逢魔が時”っていう言い方もあってね。赤い空が、青い空と混じって2つになっていくんだけど、結局その2色って交わることなく黒になっていくんだけど、その時間の経過を、この曲の1番2番3番で歌っていってるんです。茜色から藍色に変わって、最後は真っ黒な空に飲み込まれていくんです。交わらない空を、結ばれない2人に当てて歌っているんです。

――最高の泣きのロッカバラードだと思う。この曲をラストに持ってきた流れも最高に良いと思ったなぁ。

ナオ:ですね。最後、この曲で良かったです。

――ショーン曲もショーン曲で、ショーン・ホラーショーという個性の塊だよね。「SMILE」も「レッドドラゴン」も、納得のファンキーさが漂うショーン節だと思う。

ショーン:「Welcome to Strange Night」は、“変わり者の夜”をイメージに作った曲でしたね。歌詞は本当に2行くらいしか無いんですけど、最後には“Welcome to the Beautiful Night!”になっていて。フリークショー的なイメージですかね。“ようこそ、美しい世界へ”って、招き入れてる感じなんです。オープニングに相応しい曲を作りたいなと思って作った曲だったから、アルバムのオープニングになったのは本当に嬉しかったし。

ジョニー:もう、そこしかなかったからね。ショーンが加入していなかったから、首振りDollsがこういう曲をやることなんてなかったと思うくらいの大きな変化ですよ、これは。こんな曲作れないもん。

ショーン:そう言ってもらえると嬉しいです(笑)。いい具合に始まり感は持たせられたのかなって思いますね。

ナオ:俺的には、ちょっとスラム街的なイメージもあった曲でしたね。

――さっき、アナログ的な話になっていたけど、これを初めて聴いたときは、とにかくテンションが上がったというか。やってくれるじゃないか、首振りDolls! いいねぇ! って血が騒いだというか。ヤバイな、コイツら。やっぱいいわ! って思った。既にライヴでもお馴染みだけど、アルバムバージョンは、“ナオ”という黒人コーラスもね(笑)。

ショーン:あははは。はい。

ナオ:降臨しましたね、“ナオ”という黒人コーラスが(笑)。

――ショーンの意図としては、アルバムバージョンは、このコーラスだけでいいんじゃないかくらい振り切りたかったんだよね?

ショーン:はい。1曲目の前に来るインストみたいなイメージでもいいのかなって思ったんですよね。
ジョニー:なるほど。次のアルバムにはインストも入れてってみますか!

――いいと思う。ちょくちょくところどころに入れて行くのもありかもね。

ショーン:あ、それいいですね! 曲と曲の間にインストを挟み込んでいく系のもやってみたいですね。
ナオ:ね、こういう話してると、どんどんやりたいことが湧き出てくる!

――いいことだね。

ジョニー:いいと思う!

――「レッドドラゴン」は何をイメージして書いた曲だったの?

ショーン:曲的には、中国の霧がかかった山のところにいるドラゴンをイメージして作ったんです。

――だからちょっと中華が臭うんだな。

ショーン:そうですそうです。そのドラゴンが歩いたり飛んだりしてるイメージなんです。歌詞はナオくんに任せたので。

ナオ:任せられて、失恋の歌にしました(笑)。ドラゴンは出てきません(笑)。彼女が居なくなって、独り取り残された世界はモノクロの世界で、、、っていう歌詞です。

ショーン:昔は人気者だったドラゴンが、今は人気が無くなり、独り取り残されてしまった、、、っていうことかな?

ナオ:あははは。どうしてもドラゴンに繋げたいんやね(笑)。

ショーン:そうそう(笑)。

――こうやって1曲ずつの意味を聞いていくと、本当に1曲1曲存在感のある作品だよね、今回。逆に、アルバム曲っぽいのが無いのかも。

ジョニー:俺ね、今まで、ずっとA面B面って考えるタイプだったんだけど、今回このアルバムを作る上では、一切そこ考えなかった。

――もうA面B面を知ってる世代が限られてきてはいるけどね(笑)。今作の中でA面曲に置き換えるならば、それは、去年の12月に配信でリリースされた「サボテン」「散り散り」「SAILE」なんじゃない?

ナオ:その時点ではアルバムは発表していなかったけど、アルバムを象徴するような3作ではあったと思う。

――そうだね。その3曲の中では、リード曲として「サボテン」を最初に走らせた訳だけど、この曲でジョニーが伝えたかったこととは?

ジョニー:「サボテン」もモチーフ的には孤独かな。サボテンから見た、飛行機雲。ん〜、孤独というより命の大切さを歌っていたりするかな。サボテンって、なかなか花が咲かないんですよ。本人もそのいつか咲く花を知らずにいるっていう。そんな儚さを歌ってます。

――MVの案はジョニーが最初から“こうしたい”っていうイメージがはっきりとあったよね。

ジョニー:何気ない日常のオフショット風景を入れながら、思い出チックな、どこかノスタルジーな、モノクロな景色が良かったんですよね。ドキュメンタリー映画のエンディングみたいな感じにしたかったんです。物語にはなっていない感じだけど、バンドの歴史は感じるみたいな。歌詞がしっかりと届くように、映像の真ん中に置きたかったってのも自分の中にはハッキリとあって。

――バンドの歴史は詰まっているよね。ショーンが加入してからは本当にバタバタと時間が過ぎていって。2年という短さとは思えないくらいの歴史がある気がするというか。

ショーン:「サボテン」のMVといえば! MVの最後の方の3人シーンで、スカジャンを着ているんですけど、そのスカジャンにはちょっとストーリーがありまして。古着屋の一番目立つところに飾ってあったんですよ! それ見て、めちゃくちゃカッコイイなと思って欲しくなったんですけど、すごく高くて。あぁ、まだあるなぁ〜、って、行く度に気になってて。ある日行ったら無くなってて。あぁ、ついに売れちゃったかぁ、、、ってガッカリしたんですけど、なんと、棚の下の方に畳んで置いてあって、セールになってたんです! その瞬間、なんでそんなに売れなかったんだ、、、可哀想に、、、家においで! って思いで買った子です!

ナオ&ジョニー:・・・・・・・・・・・・・・。

ショーン:あんなに最初は神々しく飾ってもらっていたのに、セールにまでされちゃって、、、って思ったら切なくて。

ジョニー:「サボテン」全然関係ないじゃん(笑)。

ショーン:あ、まぁ(苦笑)。でも、本当に「サボテン」のMV撮る2日前くらいの話だったんです!

ナオ:で、いくらだったの?

ショーン:絶対言わない(笑)。

ナオ:でも、本当に「サボテン」のMVを見ると、やっぱりツアーに行きたくなるし、ライヴしたくなるよね。自分もお客さんみたいな気持ちになって見ちゃった。あぁ〜、札幌行きたいなぁ〜とか。ショーンと俺、手を繋いでめっちゃルンルンで歩いてたよね(笑)。

ショーン:あれは札幌じゃないよ! あれは、gremlinsとの対バンの次の日に、gremlinsのワンマンを観に行かせてもらったときの映像だから、青山だよ(笑)。

ナオ:あ、そうだっけ(笑)。

――ショーンと初めてスタジオに入ったときの映像とか、上京してくるのに部屋探しに行ったときの映像とか、ジョニーがバイトしていた地元のバーとか、いろんな場所でのライヴ映像とか、ツアー先でのオフショットとか、本当に3人の2年間の歴史が詰め込まれているよね。

ショーン:DOLL Tシャツ(※現在も通販サイトで販売中)の原画を描いてるシーンとかもあって。
ジョニー:あのシーンね、よくみると俺、“SEX”って描いてて、、、ダメでしょ。

ショーン:俺なんて、まさかの“DOOL”って描いちゃって(笑)。

ナオ:あの原画、まだ事務所にあるから、どっかでみんなに見てもらってもいいかもね! なんか、本当にそんな素顔もたくさん見れるMVになっているんで、まだ見てない人は見てもらいたいですね。

絶対に全部好きになってもらえると思う

ショーン・ホラーショー

――ちょっと話を戻すけど、今回、それぞれの楽曲を振り返ってみると、振り幅を広げているのは、ジョニーなのかなと思うよね。ジョニーもジョニーらしい楽曲なんだけど、「DISCOVERY」の突き抜けた明るさは、ジョニーの音楽ルーツは感じるけど、それを首振りDollsの楽曲として屈託なく持ち込んでいるのは、かなりのチャレンジだったのかなと。

ジョニー:「サボテン」は空に向かって書いた曲なんだけど、「DISCOVERY」は、深海に向かう感じというか、奥に奥に潜っていくイメージで書いた感じかな。人の心の中の奥の方に行くと、精神の核というものがあって。それは人それぞれ違った世界で。

――ん? 『鬼滅の刃』???

ジョニー:あ、バレました(笑)? でも、本当にそんなイメージだったんですよね。

ナオ:あ、そういえば、アニソンみたいに歌ってって言われた!

ジョニー:アニメのオープニングをイメージして作ったんですよ。もともと。その頃にハマってたのは『約束のネバーランド』だったりしたんですよね。自分の中でイメージしたのは、健気な少年少女たちが健気に戦っていくっていう世界観だったんですよね。最初の仮タイトルは『約束のアビス』だったんです(笑)。

ショーン:あははは。でも、たしかに今回、ジョニーさんの曲、幅広いんですよね。「期待しないで」とかも相当アルバムの振り幅広げてる感じはします。
ジョニー:うん。まぁ、たしかにそれはあるね。
ナオ:認めるんや(笑)。でも、本当に今回ジョニーの曲はキラキラ要素高めだよね。ん? もしかして全部キラキラ?

ジョニー:いや、ジメジメもある。

ナオ:ジメジメどれ?

ジョニー:「期待しないで」(笑)。

ナオ:いやぁ、歌詞はジメジメかもしれんけど、曲的にはキラキラだよ〜。

ジョニー:そっか(笑)。でもね、そこもロックバンドによくありがちなとこだったりする。2枚目か3枚目のアルバムで、なんかよく分からんけど、いきなりギターの奴が歌い出すっていう。

ナオ:そこもオマージュなんや(笑)。

ジョニー:そう(笑)。

ナオ:でも、ジョニー、最初歌うの嫌がっとったやん!

ジョニー:絶対に無理! って思ったけど、まぁ、なんか歌っちゃいました(笑)。この曲でやりたかったのは、90年代の日本のロック。ボ・ガンボスみたいなロックをやってみたかった1曲。今からしたら、ちょっと古さを感じるロック。歌詞は、山口冨士夫さんとかが書きそうな感じというか。

――村八分!? さすが。ルーツを感じるわぁ。「期待しないで」は、ジョニーが歌って正解だったと思うよ。ちょっと緩いサウンド感のレゲエだから、ジョニーの声質と歌い方がすごく合っていたし、何よりもジョニーそのものの人間性を感じたから。

ナオ:それはそう思う。これ、誰のこと?

ジョニー:俺のことかな(笑)。いい奴でもないし、悪い奴でもないし(※歌詞から引用)。清志郎さんとかもよくやってたけど、歌詞で自分のこと歌ってたりするでしょ。あんなイメージかな。まぁでも、相当クズな野郎の歌です(笑)。

ナオ:なるほど(笑)。ジョニー・ダイアモンドの歌なんやね(笑)。俺も最初歌ってみたけど、ジョニーの思っている通りにはどうしても歌えなかったからね。どうしてもしっかりと歌ってしまうし、何よりも、“期待しないで”って思えない性格だから、あの歌詞の雰囲気を上手く歌いこなせなかったというか。本当にそういう意味でも、「期待しないで」は、ジョニーが歌って正解だったと思うな。曲の良さもすごく引き出されていると思うから。この曲では、俺はティンバレスを頑張りました!

ジョニー:あのティンバレスは戸城さんが持って来てくれたんで、入れてみたんだけど、あって良かったね。あと、今回ショーンがシンセを入れてたよね。
ショーン:「レッドドラゴン」で入れましたね。でも、シンセは『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』でもたくさん入れてたよね?

ナオ:『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』のシンセは、DIEさん(hide with Spread Beaver)が弾いてくれてるからね。そう思うと『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』は、『首振人形症候群』とは全く違う、本当に特別な1枚だったりするんだよね。

――たしかに、一発どりのガレージ感が強い『首振人形症候群』に比べると、『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』は音数が多いし、ちょっと洗練された印象があるよね。

ショーン:ボコーダーも使ってたよね?

ジョニー:そう。「切花」とかではシタールまで使ってるからね。

ナオ:シタールエフェクターね。

――あぁ、首振りDollsの音にはシタールの音色は合うかもね。

ショーン:まだ音源化されていない新曲の「童」って曲にはたしかにシタール合うね。

ナオ:合うね〜。てか、そう思うと、アルバムごとにいろんな挑戦して来てるね。『首振人形症候群』なんてのは、本当に何も考えて作ってないからね。本当に狙ってるとこなんて一切ないから。

ジョニー:たしかに、何も考えずに作ったアルバムだからね。ツアーやるために作ったアルバムだった。ただそれだけ(笑)。初期衝動以前の問題(笑)。

ナオ:でも、そういうのって、もう今は作れないから、そのときにしかない良さはたしかにあるよね。そういう意味では、何処から入ってくれてもいいけど、全部聴いてもらいたいな。絶対に全部好きになってもらえると思うから。

――そうだね。

ナオ:今回の『ドラマティカ』を選曲するときに、1人3曲ずつ入れてみようか、って話になって、それぞれが3曲ずつ選んで並べてみたんだけど、並びは本当に満場一致だったよね。それぞれが選んで来た3曲に対しても、みんなが“うん、いいんじゃない!”って感じですれ違いはなかったし。

ジョニー:まぁ、結果良かったのかなと(笑)。

――すごく良かったと思うよ。「ミルキーウェイ」では戸城さん(戸城憲夫)との共作もあって。

ナオ:そう。あれはニューヨーク・ドールズ。ニューヨーク・ドールズみたいな曲を作ろうってことで、戸城さんに相談しながら作ったって感じだった。イメージとしては、宇宙かな。瞳の中に広がる宇宙って感じ。ファンタジーな世界観を書いてみたくて作ったら、こうなったって感じ。

――「ガタ」から「ミルキーウェイ」「期待しないで」「DISCOVERY」っていう舵の切り方は、相当な振り幅だよね。

ナオ:うん。俺が思う首振りDollsって、陰鬱なイメージなのね。でも、実際にそういう部分もあるし、そういう部分が首振りDollsらしさなんだと思うんだけど、お客さんがライヴで好きって言ってる曲って、「タイムマシーン」(※『首振人形症候群〜REVISITED盤〜』収録)とか、明るい曲が好きな人も結構多くて。

――ショーンもそう言ってたよね。

ショーン:ですね。

ジョニー:それはね、人類の統計学的に、人間はポップな曲が好きだからってことだと思うよ。暗い曲が好きっていう人の方が、少数派なんだと思うよ。

ナオ:そうなんかなぁ。暗い雰囲気の首振りDollsが好きだったっていう人も中にはいるでしょ?

――でも、そこが無くなった訳ではなく、暗い曲は充分暗いからね。でも、不思議と最初聴いたとき“うわ、これは流石に明る過ぎじゃないかな?”と思っても、ライヴで馴染んでくると、毎回そこで泣けてくるくらいその明るい曲に心を掴まれて涙するっていう不思議は起こることってあるんだよね。

ショーン:暗い曲の中でこそ、キラキラした曲が映えるってのもあるんじゃないかな?

ナオ:たしかに、それはあるのかもね。そういう意味では、今回の『ドラマティカ』は、ちょっとキラキラ要素が多いのかもって感じなのかもね。たぶんね、暗いのは俺だね(笑)。俺が作る曲が多いと暗くなる(笑)。でも、『ドラマティカ』は本当に3人がバランス良く曲を出しているからね。

――今回のアルバムタイトルはショーン発案だけど、『ドラマティカ』というタイトルは、本当に一言で今回のアルバムを言い表してる言葉になった気がするね。

ショーン:なんか、本当に響きだけで提案してみた感じだったんですけどね。

ナオ:耳触りがいいよね。

ジョニー:聴いてくれる人達にイメージを持たせる言葉としては最高の言葉なんじゃないかな?

――そうだね。今回は、コロナ禍ということもあり、全国ツアーを自粛することもあり、個展ライヴという、新たな試みをする訳だけど。

ショーン:『ドラマティカ』の世界観を存分に感じてもらえたらという想いで。

――ジャケットのイラストをカネコアツシ氏、アーティスト写真を寫眞館GELATIN、ジャケットデザインをcali≠gariの桜井青氏が手掛けてくれていることで。3人が創り出した『ドラマティカ』という作品を、クリエイター達がそれぞれの感性で表現してくれているという。

ジョニー:すごく嬉しいですね。カネコさんには『アリス』でもジャケットを描いてもらっているし、青さんにも『アリス』のときもデザインしてもらっているんですけど、今回はまた『アリス』のときとは全く違った世界観を作りあげてくれていて。

ナオ:本当にありがたいです。4月1日〜4日までが東京・中野spaceQ(3日4日アコースティックライヴ開催)、4月15日〜18日までが大阪・紅鶴(17日18日アコースティックライヴ開催)で個展ライヴも行いますので、是非、直にその世界観を確かめに来てもらえたらと思います。

ショーン:寫眞館GELATINさんも純粋に自分達を撮ってもらった写真はもちろん、寫眞館GELATINさんの作品が本当に素晴らしくて。

ジョニー:純粋に寫眞館GELATINさんの撮る写真のファンになりましたからね。

ナオ:自分達のやる個展ライヴなのに、自分達が楽しみなんです。ライヴとしては、3月26日の下北沢251、4月16日の大阪Bigtwin Diner SHOVEL、ツアーファイナルとして、私の誕生日である5月15日に花やしき花劇場で単独公演をしますので、そちらの方も是非、遊びに来て頂けたらと思います。

取材・文◎武市尚子
写真◎寫眞館GELATIN

【花やしき花劇場単独公演決定!】

『nao Birthday live!! DRAMATICAL DOLLS SHOW new album〝ドラマティカ〟release tour final!!』
5月15日(土) 花劇場 浅草花やしき内施設
open19:00start19:30
<チケット>
1階アリーナ席
Adv¥5000 Day¥5500(+drink
2階VIP席
Adv¥6500 Day¥7000(+drink
※基本花やしきご利用の方は別途入場料必要となります。
※抽選にて花やしき入場無料券(20名)をご送付致します。
・チケット:Live pocketにて
2021.03.06 10:00〜発売開始
※整理番号入場
※席の指定はございません

【抽選にて花やしき入場券贈呈!!(限定20名)】
この度、チケットをご購入の方の中から抽選にて20名様に併設する花やしきのご招待券を贈呈致します。
当選のご報告は、ご招待券の発送を持ってかえさせていただきます。
※チケット購入時入力されたご住所にお送りさせて頂きます。
https://t.livepocket.jp/e/fi_z5

アルバム『ドラマティカ』

2021年3月17日(水)発売

DOLLS-1/¥3,000(税込)
<収録曲>
1.Welcome to Strange Night
2.散り散り
3.バケネコ
4.サボテン
5.SMILE
6.ガタ
7.ミルキーウェイ
8.期待しないで
9.DISCOVERY
10.レッドドラゴン
11.誰そ彼
<クレジット>
ジャケット/漫画家・カネコアツシ
写真/写真家・寫眞館GELATIN
ブックレットデザイン/桜井青(cali≠gari)

※特典詳細はオフィシャルHPにて

■配信事前予約リンク
https://lnk.to/kubifuri_dramatica

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