「土地の記憶を受け継ぐ」 五島舞台に新たな観光企画 “巡電” “巡礼”…多彩なアイデア

五島を舞台に観光企画を考えた6チームと、現地事務局をオンラインでつないで開催された報告会=五島市内

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づき、地域資源や文化の活用を考える環境省の事業で、全国の若者が長崎県五島市を舞台に新しい観光の在り方を構想している。潜伏キリシタンの歴史や文化を踏まえ、テーマは「土地の記憶を受け継ぐ」。2月27日のオンライン成果報告会では、電動バイクを充電しながら島内を巡る「巡電」の旅、スナックママと交流する“巡礼”の旅など、多彩なプロジェクト案が披露された。
 SDGsは持続可能で多様な社会や経済、自然環境を実現するため、2030年までに達成すべき17の国際目標。同省は本年度、同市や福島県いわき市など全国5カ所を舞台に、地域でSDGsの理念を実現する人材を育てる実践型プログラム「migakiba」を企画した。
 期間は昨年12月から約3カ月で、五島市のプログラムには全国各地に暮らす20~30代の6チーム23人が参加。専門家の講義を受けたり、現地事務局代表で同市出身のコピーライター、中村直史さんらとオンライン会議を重ねたりして企画を練ってきた。
 このうち「巡電」の旅を提案したチームは、旅の魅力は島民との交流や偶然性にあると説明。電動のレンタルバイクに乗り、島内の飲食店や教会、公民館などで充電しながら島を巡ることで、「不便さが、人と話すきっかけを生む」と提案した。スナックママの“巡礼”チームも、ママや常連客など「仲のいい観光客、仲のいい島民の関係をつくりたい」と発表した。
 他のチームも、島民だけが知る「五島の秘密」を探す旅や、熟年夫婦に子が贈る旅行パッケージ企画などを紹介。今後も実現を目指し、事業を継続するという。

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