グッチ、シャネルが環境再生や再エネ支援など気候変動対策に本気

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グッチはモンタナで革のためのリジェネラティブな放牧プロジェクトを進める

ラグジュアリーブランドとしてファッション界をけん引してきたグッチやシャネルが気候変動を緩和するための積極的な戦略を打ち出している。グッチはサプライチェーンを含めたカーボンニュートラルを実現するだけでなく、リジェネラティブな環境再生型農業へ資金を投入し、グッチの製品の原材料となるウールやレザーの生産地を再生型に転換することを今年1月に発表。一方シャネルは同社のグローバル気候戦略「ミッション1.5°」の一環として、米カリフォルニアの低所得者向け住宅に約30メガワットのソーラーシステムを設置するプロジェクトを始め、自社のCO2削減量として組み込む。(環境ライター 箕輪弥生)

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グッチは熱帯林の減少対策によって気候変動を抑制する国際的メカニズム「REDD+プロジェクト」に投資し、マングローブの復元と保護に取り組んでいる

ファッション産業は石油産業に次いで環境負荷の大きな産業だが、それを持続可能なものに変えようという動きが本格化している。

グッチは2018年から実施しているカーボンニュートラル対策に加え、2021年1月に新たな「環境戦略ポートフォリオ」を発表した。これは温室効果ガスの吸収源となる重要な森林やマングローブ林を保護および再生すると共に、リジェネラティブな環境再生型農業への支援を行うというものだ。

今後5年間でグッチの原材料を提供する世界各地の約3000ヘクタールに及ぶウールとレザーの生産地をリジェネラティブ(環境再生型)に変えていくことで、土壌や生物多様性を豊かに保ち、アニマルウェルフェアに配慮し、自然を再生し強化する農業システムへの移行を推し進める。

グッチのマルコ・ビッザーリ社長兼CEOはこの戦略について「気候変動を緩和する重要な生態系を保護および再生することで、 生物多様性と気候を将来にわたって持続可能にしていく」と説明する。

同社はこのほか、ショップやオフィス、工場などの電力の8割以上を再生可能エネルギーに切り替え、リサイクル素材やオーガニック繊維の使用を増やすなどサステナブルな原料調達を行っている。さらに、持ち主の手を離れたグッチ製品をオンラインショップで販売するといった新たな循環型ビジネスモデルを始めるなど、包括的な環境戦略を組み合わせてサプライチェーンを含めたカーボンニュートラルを実現している。

低所得者向けソーラー発電プロジェクトを推進するシャネル

シャネルは気候変動への取り組みであるパリ協定に沿った目標を設定した「CHANEL Mission 1.5°」を環境戦略とし、グッチと同様2019年に事業のカーボンニュートラルを達成している。

シャネルは事業を再生可能エネルギーだけで行うことを目指す「RE100」に参加し、2025年までにその達成を目指すが、そのための施策としてユニークな試みを行っている。

同社は住宅用太陽光パネルメーカーのサンラン(Sunrun・カリフォルニア州サンフランシスコ)と連携し、米カリフォルニアの低所得者向け住宅に約30メガワットの太陽エネルギーシステムを設置している。これにより、住民の負担なくソーラーパネルで発電した電気を使えるようにし、約3万人の住民が年間600ドル(約6万3000円)の電気代を節約した。これをシャネルのCO2削減量としても組み込む。

このプロジェクトにシャネルは約37億円を投資し、ソーラーシステムの設置と同時に低所得に対して太陽光発電関連の2万時間の職業訓練を提供し、就業促進も合わせて行っている。

この取り組みは、RE100企業のリーダシップを表彰する制度として昨年から行われている「RE100 Leadership Awards」で「Best Community Changemaker」を受賞した。

[^undefined]https://youtu.be/-kh-IDxDKnY

シャネルは「RE100 Leadership Awards 2020」で「ベストコミュニティチェンジメーカー」を受賞