「彼の課題を見つけたいけれど…」 楽天石井監督を困らせたドラ1早川の修正能力

中日戦に先発した楽天・早川隆久【写真:宮脇広久】

ピンチもチェンジアップで併殺に仕留め3回1失点

もはや「課題が見当たらない所が課題」と言うしかない。楽天のドラフト1位ルーキー・早川隆久投手が2月28日の中日との練習試合(沖縄・北谷)に先発し3回で5安打1失点に抑えた。

この日は立ち上がりの初回、傾斜がきつめのマウンドにも戸惑い、連打と犠飛で失点。しかし2回1死一、三塁のピンチでは、2種類のチェンジアップが威力を発揮した。伊藤康祐に対し、カウントを稼ぐための落差が小さい球で2球で追い込むと最後は3球目は空振りを取るための落差の大きい球で三ゴロ併殺に仕留めた。「ゲッツーを取りたい所で取れたのは大きい。やはりローボール(低めの球)がポイントになるので、徹底していかなければと痛感しました」とうなずいた。

既に開幕先発ローテ入りのお墨付きを与えている石井一久監督は「修正能力が高い投手だと改めて思いました。ランナーにもしっかり気配りができていて、傷口が深くなる前にしっかり対応できる」と称賛。

指揮官はこれまで期待の新人について、あえて「壁に当たってほしい。いろいろ考えるより、壁に当たりながら解決していく方が、選手として大きくなると思う」と語っていたが、この日は「僕も彼の課題を見つけたいけれど、修正能力が非常に高いので、今のところ話すことがない」と苦笑するしかなかった。

石井監督「球数を投げられる肩の耐久性を作ってシーズンに臨んでほしい

プロでの実戦初登板となった20日の日本ハムとの練習試合(金武)では、多彩な変化球を駆使し2回1安打無失点に封じたが、小山伸一郎投手コーチからは「もっと真っすぐをどんどん投げてもいいんじゃない?」とアドバイスを受けた。長い目で見れば、最速155キロの速球に磨きをかけてこそ、変化球も生きる。そこでこの日は「ストレート主体」を目標設定。「打たれてもいいと思って、真っすぐで押しました」と述懐したあたり、目先の結果を求めがちな新人と思えない。

あとは、石井監督が「これから長いイニングになっていくので、球数を投げられる肩の耐久性を作ってシーズンに臨んでほしい」と語ったように、「中6日で120球」がノルマの楽天の先発投手としてスタミナ作りが残されたステップになる。

前回は先発の田中将大投手のあとを受けて2番手での登板だった。この日が“プロ初先発”とあって、「大学でやってきた通りに継続しようと思ったのですが、アマチュアのように整列して始まるのではない。そういうことも含め、いろいろ改善していければ」と語ったところだけが、新人らしく初々しかった。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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