がん治療から復帰したマンシーニにスタンディングオベーション

日本時間3月1日、メジャーリーグのオープン戦がスタートし、結腸がんの治療で昨季を全休したトレイ・マンシーニ(オリオールズ)はパイレーツ戦に「2番・一塁」でスタメン出場。1回裏の第1打席、マンシーニには観戦に訪れた1705人の観客や両軍の選手から温かい拍手が送られ、ヘルメットを取ってそれに応えた。試合後、マンシーニは「素晴らしい瞬間だった。泣きそうになったよ」とそのシーンを振り返った。

現在28歳のマンシーニは2019年に打率.291、35本塁打、97打点、OPS.899という自己最高の成績を残し、チームMVPに選出。チームの主砲として不動の地位を築きつつあったが、昨年3月にステージ3の結腸がんと診断され、半年にわたる治療を受けてきた。そして迎えた1年ぶりの打席。一部の観客の拍手はやがて球場全体を包むスタンディングオベーションとなり、闘病生活を乗り越えたマンシーニを温かく迎えた。

マンシーニはその打席でセンターへのヒットを記録。3回裏の第2打席は空振り三振に倒れ、一塁の守備ではエラーも喫したが、そんな結果よりも「個人的に大きな1日になった。復帰に向けての節目の1つだからね」と実戦復帰してプレーできたという事実が重要だった。「まだまだやるべきことは残っているけど、現状には満足しているよ」と完全復活に向けて手応えを感じているようだ。

オリオールズの先発を務めたトーマス・エシェルマンは「(スタンディングオベーションは)偉大な人間に対して起こるスーパーでスペシャルなことだ」とコメント。ブランドン・ハイド監督は「あの瞬間は鳥肌が立ったよ。トレイが状況を認識し、それに応えている姿は本当にクールだった」と語り、主砲の復帰を歓迎した。

マンシーニは完全復活に向けての第一歩を踏み出したばかりだが、その第一歩が極めて大きなものであることは間違いない。なお、ハイドは一塁と指名打者を兼任させながらシーズン開幕に向けた調整を行わせる方針であることを明らかにしている。

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