【ラグビー】イングランド代表に死の脅迫 ウェールズ戦敗戦で非難浴びた選手が告白

イングランド代表のゲンジ(ロイター)

ラグビーのイングランド協会は1日までに、ツイッターで代表チームに関する声明を出した。一部のSNS投稿が選手、チームへの敬意を欠いていると批判。FWエリス・ゲンジ(26)が、自身への「死の脅迫」を明かしたことに関連するとみられる。

声明は「敬意(リスペクト)はラグビーの核心をなす価値である」としたうえで、欧州6か国対抗で苦戦する代表チームに触れて「昨日(2月27日)、我々はウェールズに敗れたが、彼らは勝利に値する相手だ」とウェールズをたたえ、こう続けた。

「不幸なことに、選手たちやチームに向けられたソーシャルメディアでのいくつかの反応は、ラグビー・コミュニティーへの敬意を示すレベルに達していないものだった。我々はオンラインでのバッシングにさらされる選手とチームを支え、真のラグビーファンが我々を支持してくれることを願う」

前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏が率いるイングランドは、準優勝した2019年のW杯後、20年の6か国対抗と、同6か国とフィジー、ジョージアによるオータムネーションズ・カップを制した。ところが、連覇がかかる今季6か国対抗では、本拠地トゥイッケナム・スタジアムでスコットランドに同地で38年ぶりの勝利を許し、ウェールズにも24―40で敗れて現在1勝2敗と連覇が厳しい状況となっている。

敗れた2戦はいずれも反則が目立ち、アウェーのカーディフで行われたウェールズ戦では後半に24―24と追い付きながら、突き放された。この試合に同点となった後の後半22分から出場したプロップ(スクラム第一列の両サイド)のゲンジが、SNSで非難を浴びたと告白した。

きっかけは、ウェールズの選手をロッカールームへ拍手で送り出す際、ゲンジが拍手をせずに立ち尽くしていたとする映像がネット上に流れたことだった。試合後、双方が列を作って拍手で相手を送るのがラグビーでは恒例。ゲンジはツイッターで「なぜ自分が通路で手をたたかなかったのかは分からない。心の奥底では、ウェールズに最大限の敬意を払っていたはずだ」と釈明した。さらに「心配なことは、死の脅迫など…」と記したことが波紋を広げた。

強豪イングランドはメディアも含めて外部から厳しい視線が注がれていると言われる。今回はそれがゆがんだ形で現れてしまい、協会も看過できずに警告を発した。

© 株式会社東京スポーツ新聞社