石崎ひゅーい、満場の大阪で弾き語りツアー完遂!「音楽がマスク1枚に、たった1枚の布切れに負けてたまるかと思うわけです」

石崎ひゅーいが2月28日、大阪・梅田クラブクアトロで東名阪弾き語りワンマンツアー「世界中が敵だらけの今夜に-リターンマッチ-」のファイナル公演を開催した。

ふらりとステージに現れ、アコースティックギターをかき鳴らすや一気に非日常へと引きずり込む迫力を冒頭の「アンコール」からまざまざと感じさせ、「最初にひと言だけいいですか? やっぱこれだよな!」と手拍子が自然発生したフロアをうれしそうに眺めた「ファンタジックレディオ」でも、ネイキッドな弾き語りとシンプルな照明だけで心揺さぶるライブを展開。バンドを率いてハンドマイクでステージを駆け巡る情熱的なパフォーマンスも彼のライブの魅力だが、その歌声とメロディが混じりっ気なしに突き刺さる弾き語りも強烈で、イントロを静かに爪弾くだけで鼓動が高鳴るような「第三惑星交響曲」でも、熱のこもった演奏にくぎ付けになるオーディエンス。

「大阪に来るのは1年3カ月ぶりです。音楽がマスク1枚に、たった1枚の布切れに負けてたまるかと思うわけです。今日は最後の最後の曲まで、音楽の力を信じて歌い切りたいと思います」

その後も、エレキギターに持ち替え神々しさすら感じるファルセットボイスを聴かせた「バターチキンムーンカーニバル」や、静寂の中で切々と歌い上げた圧巻の「ピノとアメリ」と見せていく。ブルースハープを交えたフォーキーな未発表曲「アリスは確か25歳」も披露し、「世界の終わりのラブソング」「ピリオド」では、ドラマチックかつ優しく包み込むような歌声とピアノで圧倒。イスにちょこんと腰掛け代わる代わる楽器を手にする姿は彼の部屋に招かれているような親密さで、「ガールフレンド」ではマイクの前を離れステージ前方へと移動し、「(大阪・梅田HEP FIVEの)観覧車あるじゃん? デビューした頃、段ボールに“石崎ひゅーい”って書いてあの辺で歌ったのを思い出すわ(笑)」と、顔をくしゃくしゃにして生声で熱唱。

時は流れあの日の路上から状況が変わろうとも、歌い手としての核は何ら変わらないと思える光景に、大きな拍手が巻き起こる。そのまま「危ないよね…声が出ちゃいそうになるのよ(笑)」と、思わずコール&レスポンスしてしまいそうなところをグッとこらえて拳で応える「1983バックパッカーズ」を経て、「大阪のみんなと! 気を付けながらの!(笑)」と始まった「夜間飛行」が盛り上がらないわけがない。

「曲を作ってると、気付いたら朝になってることが多々ありまして。ふと空を見てみたら、夜と朝の狭間で、見たこともないような色の空で。こういう生活になっていろいろなことが変わったけど、きっと自分が目をこらしてないだけで、素敵なことはどんな生活の、どんな人生の中にもあると思ったんです。僕がラッキーなのは、それをいつか曲にして、みんなにプレゼントすることができるわけで。なので、そんなプレゼントをみんなに待っててほしいなと。また会いましょう、みんなのおかげで素晴らしいファイナルになりました」

ラストの「花瓶の花」まで全17曲。音楽の力を、日々に潜む幸福を信じ歌い切った石崎ひゅーいが、満場の拍手に見送られファイナルのステージを後にした。

2021.02.28@UMEDA CLUB QUATTROセットリスト

M1 アンコール

M2 ファンタジックレディオ

M3 第三惑星交響曲

M4 Flowers

M5 メーデーメーデー

M6 僕はサル

M7 SEXY

M8 バターチキンムーンカーニバル

M9 ピノとアメリ

M10 アリスは確か25歳(未発表曲)

M11 世界の終わりのラブソング

M12 ピリオド

M13 パレード

M14 ガールフレンド

M15 1983バックパッカーズ

M16 夜間飛行

M17 花瓶の花

撮影:鈴木友莉

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