「いい意味で巨人の重圧から解放される」トレードの田口にヤクルトは最適な環境?

©株式会社Creative2

巨人からヤクルトへトレード移籍した田口麗斗【写真:荒川祐史】

自身も2度のトレード経験、野口寿浩氏がヤクルトへの好影響を分析

巨人の田口麗斗投手とヤクルトの廣岡大志内野手との交換トレードが成立したと、両球団が1日に発表した。両選手にとっては、3月26日のシーズン開幕まで1か月を切る中での電撃移籍に。先発陣に不安を抱えるヤクルトにとっては、田口にローテの一角を担ってもらいたい思惑がにじむ。2016年から2年連続で2桁勝利を挙げた8年目の左腕は、新天地で再起できるのか――。自身もトレード経験者である専門家は、前向きな可能性を指摘する。

「目立った補強は外国人のみだった。ようやく先発陣の補強に動き出したかという印象です」

ヤクルトOBであり、日本ハムや阪神、横浜(現DeNA)でも通算21年にわたって捕手として活躍した野口寿浩氏は、“燕目線”から見るトレードの収穫を分析する。FA権を持った主砲の山田、エースの小川、守護神の石山の引き留めに成功したものの「人員としては現状維持」。3人の助っ人やソフトバンクを退団したベテランの内川を獲得したものの、課題の先発陣は不透明なままだった。

その不安は、キャンプでさらに露見。開幕投手に決まった小川以外、他の候補が若手を中心に混沌としている。高梨や原、吉田大喜、高橋、寺島らはアピールとはいかず、ドラフト1位ルーキーの木澤(慶應大)や2位の山野(東北福祉大)は見極めの段階。2月24日には前ソフトバンクのバンデンハークとの契約を発表したものの、来日のメドは立っていない状況だった。

そんな苦しい台所事情なだけに、田口に寄せる期待は大きい。野口氏は「2年連続で2桁勝った時のイメージができれば、大きなプラスにはなる。ここ数年は怪我がちではあるが、トレードで気持ちも変わるので、そこに期待したい」と言う。

田口は2016年に10勝、2017年には自己最多の13勝を挙げてブレークしたが、2018年は故障もあって2勝止まり。2019年は中継ぎとして台頭し、55試合登板で3勝3敗、1セーブ、14ホールドをマークしたが、開幕ローテ入りした昨季も故障の影響で中継ぎに回ることも。シーズン5勝7敗、1セーブ、2ホールドで終えていた。

田口は「配球が命のピッチャー」、捕手との意思疎通がより重要に

過去の実績はある分、シーズン通して状態を維持できれば大きな戦力アップにつながる。ただ、サインプレーや戦術面をたたき込んだキャンプの後に新天地に移ることになり、順応に時間がかかる懸念もあるという。野口氏は、捕手目線で意思疎通の重要さも説く。

「豪腕タイプならストレートが軸になるので比較的分かりやすいが、田口はどちらかと言えば配球が命のピッチャー。捕手は把握するまである程度時間がかかるだろうし、ピンチになった時の田口の考え方なども理解しておかなければいけない」

ただ、その順応の大変さを加味したとしても、田口にとってはトレードが大きな転機になる可能性があるとみている。

「常に負けられないジャイアンツのブランドを背負うプレッシャーはあったと思う。そこからいい意味で解放され、伸び伸びやれるきっかけにもなるかもしれない」

野口氏自身、1998年にヤクルトから日本ハムに、2003年には日本ハムから阪神にそれぞれトレードで移籍しているため、環境変化の影響を身をもって感じてきた。直近の好例では、昨季途中にロッテに移籍した澤村はリリーフで躍動し、チームのクライマックスシリーズ進出に貢献。オフにはメジャー移籍にたどり着いた。

田口にとっても、巨人で得た経験や実績を生かすにはヤクルトが最適な場所になる可能性もある。トレードを追い風に、輝きを取り戻せるか注目される。(Full-Count編集部)