諫早の未来 市長選政策を読む<1> 危機管理 大久保氏「市民の不安解消を」、山村氏「365日市長の直轄で」、宮本氏「市全体で態勢検討」

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危機管理・防災対策 諫干開門問題

 3月21日告示、同28日投開票の長崎県諫早市長選まで1カ月を切った。コロナ禍で大規模な集会などが開けず、有権者が立候補予定者の政策を聞く機会が限られている。各立候補予定者が発表した政策を通して、選挙戦の争点を探っていく。
 死者・行方不明者630人の犠牲が出た1957年7月の諫早大水害。諫早市は惨禍を教訓に、防災を意識したまちづくりを進めているように見える。しかし、市の防災意識を巡り、市民の不安をかきたてる事態が昨年7月、相次いだ。
 一つは7月6日の豪雨。市中心部を流れる本明川で氾濫危険水位を超える3.79メートルに達した。市は、避難準備・高齢者等避難開始を発令せず、いきなり避難勧告を発した。川に近い避難所では、新型コロナウイルス感染防止のため、入場時の検温や連絡先記入が加わり、建物の外まで長い列が続いた。
 もう一つは7月25日の高来町の轟峡遊歩道崩落事故。観光客が巻き込まれ、母子2人が死亡、子ども1人が重傷を負った。轟峡一帯の維持管理が市の複数の部局などにまたがり、定期点検や気象状況に応じて、通行制限などの安全指針がないことが、事故後に判明。市の危機管理態勢のもろさを露呈した。
 頻発する自然災害への対応強化を求め、市議会では再三、「危機管理」の専門部署設置を求める声が続出。今回、立候補予定の3氏とも、危機管理に特化した部署設置を掲げる。
 市はこれまで、総務課の消防・防災担当6人を中心に全庁での災害対応体制を維持する考えを示してきた。ところが、4期目を目指す現職、宮本明雄氏(72)が今年に入って公表した公約に「危機管理課の新設」が盛り込まれた。宮本氏は機構改革でなく、総務部内での設置を視野に、「市全体の協力態勢をどう構築するか考えたい」と方針転換の理由を説明する。
 一方、23年間の国交省勤務の大半を河川の治水事業に携わった新人の山村健志(つよし)氏(47)。水位が短時間で上昇する本明川の危険性や13万人超の人口規模を理由に「365日、危機管理を考える市長直轄部署」の設置を説く。「防災の基本は、晴れている日に避難方法を考え、準備することが大事」。防災教育や防災リーダーの育成、防災ラジオの無償貸与などを掲げる。
 防災士の資格を持つ新人で元県議の大久保潔重(ゆきしげ)氏(54)。7月豪雨や轟峡崩落に対する市民の不安を耳にした。参院議員時代から培った国や県とのパイプを生かし、「安全、安心なまちへ今こそ自分の出番」と意欲。危機管理の専門部署や人材育成、地域防災マップ作成や消防団・自主防災組織の充実を主張する。