社説:サンマ漁獲枠 資源持続につながるか

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 歴史的な不漁に直面しているのは、間違いない。

 サンマの資源管理について話し合う日本や中国、台湾など8カ国・地域の北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が、先週行われ、現行の漁獲枠を40%削減し、年33万3750トンとすることで合意した。

 資源の回復に向けて日本が提案する規制強化に対し、これまで慎重な姿勢を示していた中国や台湾が歩み寄るかたちとなった。

 削減に不満であっても、限りある資源を持続的に活用するには、受け入れざるを得ない結論といえよう。

 全国さんま棒受網漁業協同組合によると、昨年の日本のサンマ水揚げ量は、前年比で3割近くも減少し、記録が残る中で最低の約3万トンにとどまった。NPFCに参加する他国などでも近年、同様に不漁が目立っている。

 参加国・地域全体の総漁獲枠は現在55万6250トンである。

 今回は、このうち中国と台湾が主な漁場とする公海の漁獲枠も、同じ40%減の19万8千トンとすることで一致した。

 日本は、主要な漁場である近海の排他的経済水域(EEZ)にサンマが回遊する前に、中台が公海で「先取り」してしまうのが不漁の一因とみている。

 公海における削減は、日本にとって「一歩前進」(水産庁)となり、関係者に歓迎されそうだ。

 ただ、こうした措置だけで、不漁は解消できないだろう。

 水産庁によると、米国とカナダを除く6カ国・地域の一昨年の漁獲量は、前年より6割近く少ない約19万1千トンだった。今回削減が決まった漁獲枠を大きく下回っている。

 新たな合意は、水揚げが戻った際に、乱獲の歯止めとなるが、それ以上の効果は不確かだ。

 適正な資源管理には、現在の漁獲量より少ない枠を導入すべき、と指摘する専門家もいよう。

 日本の主導でNPFCが発足したのは、2015年である。

 漁獲枠の導入にこぎ着けることだけで、4年を要した。今回の会合では、国・地域ごとに漁獲枠を設定するよう提案したが、合意には至らなかった。

 管理が必要な漁業資源は、サンマに限らない。乱獲に加えて、地球温暖化の影響も懸念される海の幸を、将来の世代に引き継いでいくために、科学的知見に基づく関係各国の協調を、さらに粘り強く促してもらいたい。