夜空で最も明るい25の恒星 日本から見えるのはいくつ?

あなたは明るい星の名前をいくつ知っていますか?

冒頭の画像はAstronomy Picture of the Day(APOD)で紹介された「夜空で最も明るい25の恒星」のカラー画像とその名前(固有名)です。まず「夜空で」と断っていることに注意してください。「昼間」も含めれば最も明るい恒星No.1は太陽になるからです。

英語の名前だけではわかりづらいので、日本語に訳して星座名などの情報を加えた表を作成してみました。各々「英語名」、「日本語名」、「星座名とバイエル記号」、「実視等級」の順に掲載してあります。

「英語名」は国際天文学連合(IAU)が認定した名前です。「日本語名」は慣習的な表記であって、英語の発音とは必ずしも合っていません。「バイエル記号」とは星座名の後に付けるα、β、γなどのギリシャ文字のことです。一般的にはその星座の中で明るい星の順に付いていますが、そうではない例もかなりあるので注意が必要です。

「実視等級」とは肉眼で見た星の明るさのことです。ここでは『天文年鑑2021年版』(誠文堂新光社)のデータを元にしています。等級の後に付いている「d」は「肉眼の分解能にあたる1分角以内の重星・実視連星」の「合成した明るさ」を記したものであり、「v」は「おおむね0.5等以上の変光を起こすもので、数字は極大もしくは平均的な時期でのおよその明るさ」を示しています(以上は『天文年鑑』の「主な恒星」より部分的に引用)。簡単に言えば、いくつかの星が重なって一つに見えている星には「d」が、明るさが変わる星には「v」が付いているということです。

さて、この25の恒星が属している星座のうち、南天の星座とされているのは「りゅうこつ座」、「ケンタウルス座」、「みなみじゅうじ座」の3つだけです。しかし、この3つの星座も沖縄県の南端では全体像を見ることができます。つまり「夜空で最も明るい25の恒星」はすべて日本国内から観望が可能ということです! とはいえ、多くの日本人にとって、南天の星座、とくに「みなみじゅうじ座」は一度は見てみたい憧れの星座と言えるでしょう。

奇しくも今年の元旦(2021年1月1日付け)のAPODでは天の南極と「みなみじゅうじ座」の画像が紹介されています。

天の南極と「みなみじゅうじ座」(Credit: Petr Horalek, Josef Kujal)

天の北極はすぐそばに北極星があるので位置がわかりますが、天の南極には北極星のような星は見当たりません。そのため、「みなみじゅうじ座」から辿る方法がよく紹介されています。十字の縦(画像では上方のオレンジ色の星γ星と下方の明るい星α星の間隔)を、α星の方向に約4.5倍延ばすと、ほぼ天の南極に達します(画像の中央付近)。

明るい星の名前には歴史的にも文化的にも興味深い意味が込められていることがあります。青白く輝くシリウス(Sirius)はラテン語で「灼熱」を意味しています。ベガ(Vega)はアラビア語で「急降下(するワシ)」の意味です。アンタレス(Antares)は火星に似た赤い色をしているのでギリシャ語で「火星のライバル」と言われています。北極星(Polaris)はまさしく「極の星」を意味していますが、残念ながらこのリストに載るほど明るくはありません(実視等級は2.02)。

他の星の名前もその由来を調べてみると驚きの発見があるかもしれません。

Image Credit: Tragoolchitr Jittasaiyapan、Horalek, Josef Kujal、sorae
Source: APOD (1) (2)
文/吉田哲郎

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