米経済の回復控えめ、住宅需要堅調 雇用の改善鈍く=連銀報告

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[ワシントン 3日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は3日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、国内経済の回復が1月から2月中旬にかけて控えめになったという認識を示した。企業は今後数カ月間の見通しに楽観的で住宅需要も堅調となる一方、労働市場の改善ペースは鈍いと指摘した。

「経済活動は大半の地区で1月から2月中旬にかけて控えめに拡大した。新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、大半の企業が引き続き向こう6─12カ月について前向きな見方を示している」と述べた。

一方、雇用水準は2020年に新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前に比べ約1000万人下回っており、期待されていたほど勢いが回復していない。FRBは「大半の地区が雇用が増えたと報告したが、ゆっくりとしたペースだった」とし、経済支援策がより早い雇用創出につながることを期待していた当局者にとって期待外れの調査結果になった。

最も注目すべき点は、娯楽や宿泊などコロナ流行で最大の打撃を受けた部門がほとんど改善しなかったことだ。こうした産業に関連する商業用不動産の投資業績は「幾分悪化した」。

パンデミックによるリスクが減り経済が力強く伸びるとの期待が高まる中、FRBは次回の連邦公開市場委員会(FOMC)を2週間後に開催する。

新型コロナワクチンの接種が進んでいることや政府が1兆9000億ドル規模の支援策を導入する可能性から経済見通しが上方改定されており、市場ではFRBが予想より早く支援策の縮小を余儀なくされる可能性があるとの見方が高まっている。

当局者はこのところ、こうした見方に反論する形で、失業率の高さや物価上昇率の弱さなど経済がなお直面する多くの課題に言及。いかなる金融政策の変更も、こうした問題が改善してからでないと検討しないという考えを示している。

この日のベージュブックは、最近の経済指標が示す現況を反映した内容と言える。コロナウイルスと経済回復が綱引きを続ける中で、力強い回復への強い願望があるものの、まだ実現はしていない。

ボストン地区はレストラン産業が「パンデミックが始まって以来初めて前向きだった」とする一方、新型コロナが依然として制御されていないことから「21年夏に予定されていたボストン地域の会議が延期された」と指摘した。

フィラデルフィア地区では、時給15ドルへの最低賃金引き上げを巡る議論に関連し、「賃金の上昇を心配する向きもある中、労働需要で賃金が上昇し、『15ドルの最低賃金がすでに実現している』企業も見られるほか、倉庫関連業では求人の時給が23ドルまで達しているところもある」と報告した。

米国民の約15%が最低1回のワクチン接種を受けた。それでも新型コロナ感染は1日約5万件増えている。冬の大幅な増加からはペースが落ちたものの、感染が依然として活発であることを示す。

市場関係者はパンデミック後の回復が、第2次世界大戦後に見られた過去最大の経済回復ペースに匹敵するとみているが、ベージュブックが現在の回復状況を表す言葉は「控えめ」や「小幅な」などが多かった。

ISIエバーコアのクリシュナ・グハ副会長は今回の内容について、1月時点から「多少上向いている」と評価。経済が控えめながらも成長している地区が増えているほか、「差し迫った物価の加速」を示す兆候もうかがえ、低金利維持に向けたFRBの姿勢が試されるかもしれないと述べた。

*内容を追加しました