“悪口の作法” 良い情報はオープン、悪口はクローズな場所で

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。「オピニオンCROSS neo」では、慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんが“悪口の作法”について述べました。

◆「悪口をなくそう」は綺麗事!?

小学生までを対象としたプラモデルのコンテスト作品に対し、「親が作って子どもの名を借りて投稿している」という中傷がTwitterにあがりました。これにコンテストの主催者の男性が「あなたのその言葉が子どもをどれだけ傷つけるのか、大人なら想像を働かせてください」と反論し、共感を呼んでいます。また、この男性は子どもらに向け、「インターネットのなかには、本当のことを見ないで好き勝手に人の悪口を言う大人がほんのちょっとだけいます。でも、悪口を言わない良い人のほうがいっぱいいます」と語りかけています。

ネットでの悪口・誹謗中傷の話となると、「なぜそんな悪口を言うのか」、「悪口を言わない人も大勢いる」といった声が上がりがちですが、若新さんは「悪口を言わない人のほうが多いかといえば、そんなことないと思う。そもそも人間は悪口を言わないというのは難しい」と逆の見解を述べます。

若新さん自身、普段から悪口を言うそうですが、「それが問題になったことはない」と断言。なぜなら「身内や仲の良い、信頼関係がある人としか言わないから」で、「悪口をネットに書いて不特定多数の人に見えるようにしたり、本人に聞こえるようにしたり、それが記録に残って回ってしまうようにすることが問題」と言います。

とはいえ、身内となら悪口を言っても良いというわけではなく「"悪口をなくそう”といった、なくなりもしない綺麗事を言ってもしょうがない」と明言し、「"悪口は存在する”という前提に立ち、それをどうコントロールしていくかという考え方のほうが必要」と主張。

◆良い情報はオープン、悪口はクローズな場所で

若新さんはかつて知人の弁護士に、第三者に聞かれないところで親しい仲間と言った悪口が誰かに録音され世に出てしまったら罪になるのか、と聞いたことがあるそう。すると、意図して公の場に出そうとしなかった場合、悪意があったわけではなければ罪に問われないケースが多いとの回答だったと明かします。

昨年、女子アナウンサーが給湯室で言った悪口が録音され、勝手に流出。その際、女子アナが非難されましたが「女子アナが責められるのはおかしい」と若新さん。給湯室での悪口は「人間として節度ある、作法を守った悪口」と言い、むしろ無断で録音し流出した側に対し「クローズの場だけで言っていることを承諾なくあげるべきでない」と問題視。

また、インターネットが槍玉に上がることが多々ありますが、そこでシェアされたからこそ広がった良い情報や価値観も多いのも事実です。それだけにネットでオープンにすることの意義を称賛しつつ、一方で悪口については「クローズな場で消化させるべき」と指摘。そして、その上で信頼関係を築き「クローズ悪口社会をちゃんと作ろう」と提案し、「安易にみんなの目の届くところには出さないという悪口との付き合い方が大事」と訴えます。

弁護士の三輪記子さんは「悪口も自分の脳内に留めておく分にはオーケーだけど、一度外部に出てしまうとそれは人を傷つける場合もある」とその線引きに留意するよう求めると、MCの堀潤も「SNSに書いた本人は"自分の心の内を言葉にしただけ”と思って、気付いていないかもしれないが、SNSに出した瞬間に社会と接続されてしまう」と同意していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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