長崎県議会 特定技能外国人を県外に派遣 農業、通年雇用実現へ

 定例県議会は3日、一般質問を続行し、4人が登壇。県は、県出資法人などが設立した農業人材派遣会社「エヌ」が、2021年度から特定技能の在留資格を持つ県内の外国人労働者を長野県と北海道にリレー派遣する事業に取り組むことを明らかにした。農作業が忙しい時期が異なる県外に派遣することで、外国人労働者が通年で働ける環境を提供し、産地の維持や農家の経費削減につなげる狙いがある。
 県議会一般質問で中島浩介議員(自民・県民会議)に綾香直芳農林部長が答えた。
 エヌは、県が約4割出資している公益財団法人県農林水産業担い手育成基金、JA県中央会、人材派遣会社アソウ・ヒューマニーセンター(福岡市)の3者が共同出資。本年度はモデル事業として、長野県農協地域開発機構と連携し、昨年6月末~11月中旬までカンボジア人4人を長野県に派遣した。
 県農業経営課によると、本県は冬、長野県は夏がそれぞれ農繁期。農家にとって忙しくない時期も外国人を雇うのは経営的な負担となり「農作業が忙しい時期だけ派遣してほしい」という要望が多かった。さらに、昨年は新型コロナウイルスの影響で、技能実習生の受け入れが難しかったため、リレー派遣は長野県から歓迎されたという。
 綾香農林部長は「リレー派遣で外国人材は安定した収入を得られる。農家の労働力不足の解消と所得向上にもつながるので、しっかりと支援したい」と述べた。

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