コロナ禍で消えゆく大学の合格掲示 密回避、元受験生「残して」の声も

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2019年3月にあった京都大の合格発表で掲示板の番号を確認する受験生ら(京都市左京区)

 掲示板で自分の番号を見つけ、「あった」と歓声を上げる受験生たち-。そんな国公立大入試の合格発表の光景が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で急速になくなっている。京都や滋賀では掲示板周辺で受験生が密にならないよう感染症対策としてキャンパスで合格発表を行わない大学が多いためだ。一方、なじみの「春」の風景が消えることを惜しむ声も聞かれる。

 京都府立大(京都市左京区)と京都市立芸術大(西京区)、滋賀県立大(彦根市)は一般選抜(一般入試)の合格者発表について、今年からコロナ対策で構内での掲示を取りやめ、ホームページの掲載や合格通知書の郵送などで行う。京都大(左京区)と京都教育大(伏見区)、滋賀医科大(大津市)も昨年に続き、構内掲示をしない。府立大の入試担当者は「例年掲示板を見に来てくれる受験生がいる。感染対策で今回はやむを得ないが、受験生の思いを考えれば簡単に判断できるものではない」と、来年以降の発表方法は未定という。

 合格者の番号掲示は、学部や入試方式ごとに発表日が異なる私立大では少なくなっている。近年は国公立大でも事務の効率化などを理由に掲示しないケースが増え、京都工芸繊維大(左京区)や福知山公立大(福知山市)は数年前から行っていなかった。そこに昨春からのコロナ禍が重なり、京滋の国公立大10大学で今年も掲示するのは、府立医科大(上京区)と滋賀大(彦根市)のみとなった。

 「元受験生」は複雑な思いだ。キャンパスで合格発表を見た京大2年の男子学生(21)=左京区=は「周囲にいた学生に祝ってもらい、大学に迎えてもらえたような気がした」と振り返る。現役で不合格だった時も足を運んだといい「受験時は緊張で気付かなかったが、静かで研究に集中できそうな環境を見て『ここで学びたい。もう一度頑張ろう』と思えた。来年以降は感染対策を十分しながら掲示する選択肢を残してほしい」と語る。

 一方で昨年、ネットで合格を確認した京大1年の男子学生(19)=同=は「正直なところキャンパスで見たかったが、ネットでもそれまでの取り組みが報われた感慨はあった。合格発表の形は変わっても、今年の受験生も同じ気持ちを感じてほしい」と話した。

 京滋の大学の一般選抜前期日程の合格発表は6日以降、順次行われる。