パナソニック、治験薬・ワクチン輸送に使える保冷ボックスのレンタル開始

パナソニックは2日、ワイヤレス給電技術を使って断熱性能の良否を判定できる真空断熱保冷ボックス「VIXELL(ビクセル)」のレンタルサービス事業を4月から開始すると発表した。VIXELLはNFC(Near Field Communication)に対応したデバイス内蔵の真空断熱製品としては世界初の商品となる。

VIXELLは1月にパナソニックが発表した製品だ。パナソニックが特許を持つ継ぎ目の無い一体成形の真空断熱筐体(VIC:Vacuum Insulated Case)を断熱層に採用した高断熱構造により、-75°C±15°Cを最長18日間まで維持できる。蓄熱ユニットと変えるだけで-75°C±15°C、-20°C以下、2°C~8°C、15°C~25°Cと多様な温度帯に対応することも可能だ。

VIXELLには、耐久性に優れ、電波を透過するという特徴がある。VICの周囲を樹脂シートで覆い外側と内側に緩衝層を設けたことで、耐久性が向上した。また一般的な真空断熱パネルと異なりアルミフィルムで覆われていないため、通信用電波や磁界が透過する。これにより、ボックス内に温度やGPSなどのセンサーを設置することで開封することなく、ボックス内の状態を監視することが可能だ。

さらにVICには、ワイヤレス給電技術を使った無線真空度センサーユニットをあらかじめ内蔵しており、専用の検査台にボックスを乗せるだけで、断熱性能の良否を確認できる。ラストワンマイル輸送、国際輸送、自然災害などに備えた一時保管などの使用用途も想定済みだ。

パナソニックは、長年冷蔵庫などの家電製品の開発で培ってきた断熱技術や成形技術、IoT技術を駆使することで、医薬品輸送においてさらなる安心・安全と、新たな価値創造を目指すと述べている。

(出典:パナソニック Webサイトより)

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