五ケ瀬町民の読書熱 後押し 移動図書さらに充実

約200冊を本棚のまま運べる移動図書専用車「ごかせブックライン KITORASU(きとらす)」

 町民の読書活動を推進しようと、五ケ瀬町は移動図書専用車「ごかせブックライン KITORASU(きとらす)」を導入した。これまでは公用車に本を積んで移動図書サービスを続けてきたが、専用車の導入で使い勝手が向上。より親しみやすくなった。
 同町では2018年から、高齢者向けに移動図書サービスをスタート。その結果、17年度に過去最低の約900冊まで落ち込んでいた図書貸出数が急増。20年度は新型コロナウイルス感染拡大で3カ月間の休止を余儀なくされたにもかかわらず、貸出数は過去最高の約3千冊に達する見込みという。
 需要の高まりを受けて町が導入した専用車は、山深い町内をスムーズに移動できる四輪駆動の軽ワゴン。黄色い車体に観光名所などがデザインされ、目を引く。「きとらす」の愛称は218点の応募から、同町・三ケ所小4年大原舞桜(まお)さん(10)の案などを採用。「『今日は来とらすかな』と、町の人たちが楽しみに待つ車になってほしい」という、大原さんの願いが込められている。
 専用車の運行は2月26日からスタート。いきいきサロン会場など延べ55カ所を毎月巡回する。各会場では担当者が本棚を車から降ろし、待っていた高齢者は従来の倍の約200冊に増えた本の中から、お目当ての一冊を選んでいる。
 移動図書を担当する町地域おこし協力隊の山田一誠さん(39)は「多くの本を運びやすく、選びやすくなった。目立つ車体はPR効果も期待できる。町民の読書をさらに推進したい」と話している。

© 株式会社宮崎日日新聞社