自然減対策、防災に重点 五島市当初予算案307億8500万円

 長崎県五島市は4日、総額307億8500万円(前年度比0.7%増)の2021年度当初予算案など、9日開会の定例市議会に提案する45件を発表した。結婚や育児支援など自然減対策、災害対策に重点を置く。
 自然減対策では、婚活カウンセリングをする「結婚支援センター」開設や、新婚世帯の住居費助成、特定不妊治療に必要な交通・宿泊費助成の拡充、高校生を医療費助成対象に追加するなど、出会いから子育てまで継続的に支援する。災害対策は昨年の台風接近時に顕在化した課題を踏まえて計5500万円を計上し、避難場所のトイレ洋式化や備蓄品の充実に取り組む。
 主な建設事業は鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンター周辺の再整備(4億2千万円)、支所庁舎の建て替えや改修(4億1300万円)。新市立図書館建設(2億3100万円)は、予定地で検出された特定有害物質除去などのため、総事業費は15億3400万円に膨らみ、当初の計画より1億1800万円増える。
 本年度一般会計補正予算案には、国境離島新法の輸送コスト支援事業で市内の事業者が受けた交付金の一部を会計検査院が「過大」と指摘した問題に絡み、国県に返還する計2千万円を計上。交付申請時に事業者が市に相談していた経緯から、市は「事業者に瑕疵(かし)はない」と判断したが、事業者の「意向」で返還金は全て同事業者が負担するという。
 また、市中心部商店街にある中央町公設小売市場を9月末で廃止するための条例案も提案する。跡地活用策は未定。

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