しゃれ効いた「見立ての妙」 田中達也さんミニチュア展 熊本市現代美術館  

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色とりどりのダブルクリップを待合室のベンチに見立てた「しばらくここで待ってクリップ」(2018年)=熊本市現代美術館

 鹿児島市在住のミニチュア写真家、田中達也さん(39)の「MINIATURE LIFE(ミニチュアライフ)展2」が、熊本市現代美術館で開かれている。人間の営みを日用品とジオラマ人形でユーモラスに表現した立体作品約50点と写真パネルが並び、「見立ての妙」が来場者を楽しませている。

 田中さんは1981年熊本市出身、鹿児島大学教育学部美術科卒。大学卒業後、鹿児島市内のデザイン会社で働きながら、文具や食材を別のものに見立てたミニチュアの制作を始めた。作品を2011年4月から写真共用アプリ・インスタグラムに投稿し、現在276万人のフォロワーを持つ。

 2017年には、作品がNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックに起用され、注目を集めた。中国や台湾など国外でも個展を開き、世界的人気を誇る。

 蚊取り線香を英国風庭園の生け垣に、たたんだジーンズを波立つ海に-。意表をつく着想に驚かされる。自由に写真を撮ることもでき、来場した親子連れらは、スマートフォンを片手に鑑賞していた。

 しゃれが効いたタイトルも魅力だ。「おスシティー」(2018年)は、回転ずしと都会の街並みをリンクした作品。レーンを流れるすしを高速道路に連なる車に、積み重なった皿を高層ビルに見立てた。クラクションやビル群のざわめきが聞こえてきそうだ。

 「『TOTOここまで来たか。。』」(同)は温水洗浄便座のふたを雪山に見立て、冒険家たちが厳しい冬の登山に挑む姿を表現した。各会場限定で公開する新作「元気を充電できる街」は、熊本城を望むビル街を、コンセントタップを使って再現した。

 同展は、20年夏に鹿児島でも開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期になった。田中さんは「身近なモノがどう“化ける”か。日常の中で思い出して明るい気持ちになってもらえたらうれしい」と呼び掛けた。

冒険家たちが厳しい冬の登山に挑む姿を表現した「『TOTOここまで来たか。。』」(2018年)
「コンパクトな試合」(2016年)