英語教育を成功させる、 たった一つの方法

子どもの英語教育を成功させる唯一無二の方法は、「リーディング力の育成」です。いくら英会話が流ちょうにできても、英語の本を読み解く力が育っていなければ、高度な英語力の獲得は期待できません。

中学3年生で 「英検1級合格」

中学3年生で「英検1級」に合格したミユちゃん(仮名)。1次(筆記)は85%、2次(面接)は77%の得点率という余裕の合格でした。でもミユちゃんは、帰国子女ではありません。また、英会話学校に通ったこともありません。家庭学習だけで、小学6年生で英検準1級、そして、中学3年生で英検1級合格を勝ち取ったのです。

英語習得の秘訣をお母さんに聞いたところ、以下の答えが返ってきました。

「『英語を英語のまま理解できる力』を身に付けることができたのが最大の理由だと思います。日本の学校に通いながら『英語を英語のまま理解する力』を向上させていく手段は、『日々、英語を読むこと』だと思います」

小学5年生で 「英検準1級合格」

小学5年生で「英検準1級」に合格したタカシ君(仮名)。幼児期から、英語の歌や動画に触れて育ちました。母親は、「フォニックス」のワークブックや短い絵本を与えて、英語が読めるようになる「環境作り」を心掛けました。母親の努力が功を奏して、タカシ君は自分の力で単語が読めるようになり、5歳のころには短い絵本を一人で読むようになっていました。

お母さんに英語習得の秘訣を伺うと、以下の答えが返ってきました。

「『読解力』が全てだと思います。息子が音読するのを横で聞いて、読み終えると「すごいね!」と大げさに褒めてあげたのが良かったのだと思います。英語の本は少しずつ内容を難しくしつつ、大量に与えることを心掛けました。単語は本や動画などから覚えてしまうようで、特に教えることはありませんでした。レベルに合う本を選んで与えたからでしょうか、今でも『英語は簡単』と言っています」

リーディング力を 身に付ける順序

ミユちゃんとタカシ君の例から、そして私の指導経験からも断言できますが、英語を身に付けるには、「リーディング力の育成」が最高の方法です。英語の本をスラスラと読めるようになれば、子どもは読書を通して、独学で英語の全技能を向上させていくことができます。

でも子どもにリーディング力を身に付けさせるにはどうしたらいいのか? 多くの親は何から手を付ければいいのか分かりません。そんな方は日本語の文字学習を思い出してください。日本語が「かな五十音」→「漢字」→「本読み」と進むように、英語の文字学習にも「順序」があります。それが次の3ステップです。

  • Step1: フォニックス(ひらがな)→英単語の正しい発音を教える
  • Step2: サイトワーズ(漢字)→頻出単語の読み方を教える
  • Step3: リーディングフルエンシー(本読み)→多読で読解力を鍛える

リーディングの入り口は「フォニックス」

フォニックスは日本語の「かな五十音」に該当するものです。「A=ア」「B=ブッ」「C=クッ」とアルファベット26文字の「音」を教えます。英語圏ではキンダーガーテン(4〜5歳)から同学習が始まります。

フォニックス指導には正しい発音が要求されますので日本人の親にはハードルが高いのですが、今はテクノロジーを活用すれば家庭で教えることができます。

YouTubeで「phonics」と検索してみましょう。すると、たくさんの動画を見つけることができます。また、スマートフォンやタブレットアプリでも、無料のフォニックスゲームを楽しむことができます。これらのテクノロジーを活用して、家庭でフォニックスに取り組ませてください。

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。 しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。 2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。 アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。 イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。 著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

© Trend Pot NY,LLC