朗読で刻む、災害の記憶 熊本地震の経験重ね…熊本からも 10作品の動画配信 東日本大震災発生10年

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朗読劇「瓦礫と菓子パン~リストランテ震災篇~」を上演する県内の演劇関係者ら。特設サイトで配信されている=熊本市中央区(劇団きらら提供)

 東日本大震災発生10年に合わせ、日本劇作家協会東北支部が震災の記憶を伝える朗読劇10作品をインターネットで無料配信する取り組みを始めた。熊本県内の演劇関係者も、「食」にまつわる人々の思いを熊本地震の経験と重ねて演じている。

 プロジェクトは「3・11~震災戯曲で振り返る10年~」。同支部長の劇作家くらもちひろゆきさん(54)=岩手県盛岡市=らが、震災に対する演劇関係者の思いとその後の活動を振り返ろうと企画した。震災をきっかけに創作された作品の中から約1時間の10作を選び、上演と動画収録への協力を呼び掛けたところ、熊本や米国など12劇団が応じた。

 県内からは、劇団きらら(熊本市)の池田美樹さん(57)ら6人による「瓦礫[がれき]と菓子パン~リストランテ震災篇~」。くらもちさんが震災の約半年後に書いた作品で、避難者や自衛官らの証言などから食の記憶をたどる。

 池田さんは「命をつなぐための食べ物が、甘味や塩味を楽しめる『ごはん』となり、最終的に交流の芯となっていく。地震の記憶とも重なり、生命力のある作品」と語る。

 くらもちさんは震災当日、JR常磐線の車内にいたが、通過した駅が津波で流されたことを後で知った。「どこに住んでいても被災地、被災者になる可能性がある。過去や遠い地の出来事を演劇を通して追体験することで、記憶の消失に少しでもあらがいたい」と話している。

 配信作はほかに、震災2年後の家族の物語「ファミリーツリー」、東京電力福島第1原発を巡る人間模様を描く「キル兄にゃとU子さん」など。URLは、https://shin10year.shinsai-engeki.com(平澤碧惟)