大学生2人でコーヒー店起業 留学断念、休校…コロナ禍に見出した“一筋の光” 「やりたいこと、やれる時に」 

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繁華街にコーヒー店を開いた岡田修人さん(左)と山下璃久さん=熊本市中央区
客の目の前でこだわりのコーヒーを入れる山下璃久さん(左)
店内に置かれたコーヒー豆の紹介文

 「コロナのおかげで起業を決断できた」。熊本市中央区の繁華街に1日、大学生2人がこだわりのコーヒーを提供する「NONAMECOFFEE(ノーネームコーヒー)」がオープンした。新型コロナウイルスの感染拡大で、海外留学を断念するなどの苦境から導き出した“一筋の光”。2人は「失敗しても勉強」と走りだした。

 「注ぐお湯の温度が1度違うだけで味わいに差が出るんですよ」

 開店初日、カウンター越しの多くの客を前に、東海大4年の山下璃久さん(22)=熊本市=がコーヒーを入れると、店内に豊かな香りが広がった。その横で、熊本市出身で立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)4年の岡田修人さん(22)が笑顔で接客していた。

 「“変態”と言っていいほどのコーヒー好き(笑)」と話す岡田さんらが選んだ3種類のコーヒーが基本メニュー。ドミニカ産の限定品や、炭酸と組み合わせたユニークな一杯も用意した。店名には「今は無名だけど、コーヒーでつながり、お客さんを幸せにしたい」(山下さん、岡田さん)という思いを込めている。

 山下さんは幼いころからプロサッカー選手を目指し、東海大星翔高(熊本市東区)時代はロアッソユースに所属していた。しかし大学進学後にプロになる厳しさを実感。留学して海外で働く目標を持ったが、新型コロナウイルスの影響で、留学を一時断念せざるをえなくなった。

 休校などで増えた自由な時間。そうした中で山下さんが思い付いたのは、コーヒー専門店のアルバイトで資格を取得するほどの腕前を生かした起業。知人のバー経営者に相談、日中にその店舗を借りて店を開くことにした。

 一方、岡田さんは「世界とつながりたい」と多くの海外留学生が在籍するAPUに進学。大学ではラグビー部のキャプテンとして活躍していた。コロナの影響で練習ができなくなり、昨年6月に熊本市に帰郷。同じ「コーヒー好き」の山下さんと出会い、起業の誘いに、「やりたいことをやれるタイミング」と決意した。

 「コーヒーとスポーツ、教育を結び付けた店にしたい」と語る2人。コーヒーを楽しんでもらうと同時に、子どもたちのために、サッカーなど特技を生かした教室も開くつもりだ。「まずはしっかり経営し、事業を拡大したい。海外への夢もあきらめません」。2人の“船出”は希望に満ちていた。(藤山裕作)

◇NONAMECOFFEE 熊本市中央区花畑町12の9 扇ビル3階。営業は木、土曜日の午前10時~午後5時。