壱岐 買い物難民のご用聞き 移動販売車スタッフ 末永恵介さん

昇運丸で移動販売をする末永さん=壱岐市内

 コロナ禍の昨年12月25日、鮮やかな黄色い移動販売車が島内を走りだした。食品・飲料卸売業などを手掛ける昇運(しょううん)(壱岐市)が、1人暮らしの高齢者や買い物難民らの支援を目的に始めた移動型スーパーマーケット事業。改装した軽トラック「昇運丸」の荷台に約400品目1200品の生鮮食品や生活雑貨などを積み込み、契約した利用者の家を定期的に回る。「戸別訪問だからこそ密にならない販売体制ができた」
 元壱岐市社会福祉協議会職員。地域福祉相談員として高齢者支援の相談を受けていた。転職を考えていたときに昇運の原田靖彦社長から同事業の計画を聞き、「新しい福祉の形として可能性と使命を感じた」と販売員になる決意をした。
 1日に20~30件を訪問。老人ホームなどの施設にも出向く。訪問先では利用者が楽しげに商品を選んでいく。口コミで評判が広がり、利用者も増えた。「『助かった』と言っていただけることが一番うれしい。お客さまから本当に信頼される関係を築きたい」。目指すのは究極のご用聞き。物を売るだけでなく、利用者が抱えるさまざまな問題を支援することがゴールだ。

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