コロナ禍で女性の転職が難しくなっている?考えられる3つの理由と対策

コロナ禍で転職活動について、注目すべきは女性にとって難易度が上がっていることです。コロナ前後を比較すると、転職活動期間が長引いたり、応募社数が増加したりするなど、女性が転職活動に苦戦している姿が目立つそうです。

正社員で長く働きたい女性のための転職サイト「女性の転職type」を運営する株式会社キャリアセンターが、コロナ禍での女性の転職活動について調査しました。特に「面接方法の変化」が影響しているようです。


コロナ禍の転職活動期間は3~4か月が最多

まず、コロナ前の2019年以前と、コロナ禍の2020年以降の転職活動期間を見ていきましょう。

コロナ前の2019年までの転職活動期間は、1位「1~2か月」で28.7%、2位「3~4か月」で25.1%、3位「1か月未満」で20.9%でした。1位~3位を合わせると49.6%、約半数の女性が、2か月以内に転職を成功させていたことが分かります。

一方、コロナ禍の2020年以降は、1位「3~4か月」が26.8%となりました。2か月以内の転職成功者は、2位「1か月未満」21.9%、3位「1~2か月」21.0%を合わせて42.9%です。コロナ前後で比較すると、2か月以内に転職を成功させた女性の割合は49.6%から42.9%と減少しています。

また、コロナ禍以降は、転職活動期間としては長い「5~6か月」「7~8か月」「9~10か月」「11~12か月」もそれぞれ0.4%~2.0%ずつ増加しています。以上のことから、コロナ禍以降の女性の転職活動期間は長期化していると言えるでしょう。

このように転職活動期間が増加したのはなぜでしょうか? 次に応募社数を見ていきましょう。

コロナ禍で応募社数が倍増したワケ

次のグラフはコロナ前後の女性の応募社数を表わしています。

コロナ前の2019年まで、応募社数は「1~4社」が最も多く51.7%でした。半数以上の女性が4社以内の応募で採用されています。全体の平均応募社数は11.8社でした。

しかし、コロナ禍の2020年以降は、応募社数「1~4社」が51.7%から37.2%へと大きく減少しました。加えて、応募社数「30社以上」がコロナ前の10.8%から22.7%へ倍増しました。平均応募社数は23.6社と2倍に増えています。

コロナ禍では、女性の転職者はこれまで以上の多くの会社に応募しており、転職活動が難しくなっていることが分かります。転職活動期間の長期化の背景にも、転職活動の難化があるでしょう。

このように女性にとって転職活動が長期化、難化している背景には何があるのでしょうか?以下のような理由が推測されました。

女性の転職希望先として比較的多い小売・飲食・旅行業界の求人の減少
コロナ禍で募集している企業は即戦力を求める
採用が増加しているIT・Web業界に対する女性の苦手意識

コロナ禍によって業績の上がる業界・下がる業界の明暗が分かれました。これまでのキャリアを生かすため同じ業界でポストを探そうとすると、転職活動は難しくなるのかもしれません。

オンライン面接には肯定的な女性が多い

次に、コロナ禍以降、6割以上の企業が実施していると言われる「オンライン面接」について、転職する女性がどのように考えているのか見てみましょう。

理想の面接方法について、約半数の女性が面接でのオンラインの活用を肯定的に捉えていることが分かりました。面接にオンラインのみを希望する人は「一次も二次(最終)もオンライン」が21.2%います。「一次はオンライン、二次(最終)は対面」が25.9%、「一次は対面、二次(最終)はオンライン」が2.8%を含めると、合計49.9%が一度はオンラインを希望しました。

一方で、半数以上の女性が面接過程のうち1回以上は対面を希望しています。面接で対面のみを希望する人は「一次も二次(最終)も対面」が23.8%でした。「一次はオンライン、二次(最終)は対面」「一次は対面、二次(最終)はオンライン」も含めれば52.5%、半数以上が一度は対面を希望しました。

以上の結果から、女性の転職者はオンライン、対面のそれぞれにメリットを感じているようです。ただし、「一次はオンライン、二次(最終)は対面」が25.9%と多いのに対して、「一次は対面、二次(最終)オンライン」が2.8%とわずかであることから、面接の重要度によってオンラインと対面を併用したいという思いが読み取れます。

女性にとってオンライン面接のメリットは?

それでは、転職活動する女性はオンライン面接に具体的にどのようなメリットを感じているのでしょうか?

オンライン面接を希望する理由について、1位は「新型コロナウイルスの感染リスクが少ない」で48.1%でした。多くの方が感染リスクを回避できるという点でオンライン面接のメリットを感じています。

そして、同じく1位が「面接に行く交通費がかからない」48.1%、続いて2位が「面接に行く時間がかからない」47.8%でした。オンライン面接の普及によって、転職者にとって交通費や時間などの負担がクリアされたようです。

また、「事前に準備した資料が見やすい」「オンラインの方が緊張しない」など、オンラインならではのメリットも挙げられました。

業界にこだわらず、早く活動を始めることが近道

様々なメディアで、企業の採用中止や求人数の減少が報じられ、「コロナのせいで今は転職できない」「今は転職活動しない方がよいのではないか」と、転職活動に踏み出せない人も多くいると思います。

しかし、転職活動の全般的な「長期化」「難化」傾向を視野に、退職希望日を決めたら従来よりも早めに転職活動を開始すべきです。面接で何度か不採用が続いたとしても、「時間がかかるもの」という心構えがあると精神的に楽なようにも思います。

また、現在は6割以上の企業がオンライン面接を実施しており、在職しながらも気軽に転職活動できるメリットもあります。従来は時間や距離の問題があって応募が難しかった遠方の企業にもチャレンジするのもよいでしょう。

調査の結果からは転職活動の難易度が上がっている現実が浮かびましたが、コロナ禍の状況を踏まえた業界選び、転職計画を立てれば、逆に「転職への近道」を見出すことができるかもしれません。

出典
【提供元】株式会社キャリアデザインセンター
【調査日】2020年12⽉10⽇~12⽉20⽇
【調査対象】⼥の転職type会員 789名

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