願わくばもう一度!アニメ「キャンディ・キャンディ」を見たことがない平成女子 1979年 2月2日 テレビ朝日系アニメ「キャンディ・キャンディ」の最終回が放送された日

未だ「キャンディ・キャンディ」のアニメを見たことがない平成生まれの私

 そばかすなんて気にしないわ
 鼻ぺちゃだってだってだってお気に入り

あまりにも有名なこの歌い出しが、私は小学生の頃から大好きだった。

そばかすはなかったし、キャンディのように木登りができるほど身軽ではなかったけれど、おてんばだった自分のテーマのような気がしていた。

どんな時も笑顔で健気にいたいし、ドジをした時は、ウィンクにテヘペロで許してもらいたい。そして欲をいえば、キャンディのように魅力的な男の子たちに囲まれたい。完全に自分がキャンディだというメンタルで生きていた小学生の私は通学路から帰りながらスキップでこの部分だけ繰り返し鼻歌を歌っていた。

そう、私は、その部分しか知らなかったからだ。私は未だにアニメの『キャンディ・キャンディ』を見たことがない。著作権のトラブルから、再放送やディスク化がされていないのだ。おそらく昭和世代の皆さんが当たり前のように触れてきた『キャンディ・キャンディ』。しかし、私がキャンディと出会うまでには沢山の障壁があったのだ。今日は、そんな私とキャンディの物語を書きたいと思う。

「キャンディ・キャンディ」を読破するために通い続けた児童館

平成生まれの私が、漫画『キャンディ・キャンディ』を初めて読んだのは、小学3年生の頃、近所の公民館でだった。

その頃、私は母が図書館で借りてきてくれる『ベルばら』と『はいからさんが通る』に夢中で、昭和の少女漫画にどっぷりと浸かっていた。ところが、残る名作『キャンディ・キャンディ』は当時はもう絶版になっていて、書店でも、図書館でも、古本屋でも読むことができなかった。

いつか『キャンディ・キャンディ』が読める日を待ち続けていた私は、ある日、友達と遊びに来ていた児童館の漫画ルームに探し求めていた文字列があることに気がつく。

ドキドキして、震えたのを今でも覚えている。「帰ってママに報告しなくちゃ」と、その日は読むこともできず、はやる気持ちを抑え、家へと帰った。

次の日から私は、友達と約束することもなく、学校から帰るとすぐに児童館へ出かけるようになった。一人で遊びに来て、漫画ルームに向かう。児童館の漫画は、借りて帰ることができないのだ。私は毎日、16時から18時の2時間ほどで『キャンディ・キャンディ』を読破するために児童館へ通い続けた。

毎日、誰とも話さず、漫画に夢中になって、気がつくと外は暗くなっていた。

朝ドラをも超える波乱万丈のストーリー、お気に入りの登場人物はテリィ

そばかすに、くるくるの金髪のツインテール、おてんばな、孤児院で育った少女。『赤毛のアン』や『足長おじさん』といった西洋の童話が好きだった私は『キャンディ・キャンディ』の世界観にすぐ夢中になった。

キャンディス・ホワイトという可愛らしい名前、ペロリと舌を出す茶目っ気溢れるヒロイン。朝ドラをも超える波乱万丈のストーリーに、キャンディに想いを寄せる魅力的な男の子たち。中でも女優の息子で不良っぽいテリィが私のお気に入りであった。

大人っぽくて、意地悪で、どこか寂しげな彼に、まだ9~10歳の私は夢中であった。「そうよ、そう! アンソニーみたいな王子様タイプより、こういうのが好きなのよね!」なんていっちょ前に思っていた。だが当然日本の小学校に授業を抜け出して芝生の上で寝転んでるなんて男子はいるわけがない。つまんないな、と思いつつ、私は児童館の隅でテリィを鑑賞しては、惚れ惚れとするばかりであった。

もう一度世に出てきて欲しい… 堀江美都子の主題歌を聴いて願う

それから15年。いつかまたキャンディの新装版を読んで、アニメを見て、グッズを手にできる日が来ると信じ続けてきた。だけど、状況は何も変わらず、あの児童館での日々以来、キャンディにも、テリィにもまた会うことはできなかった。

しかし、中野の古本屋で『キャンディ・キャンディ』を見つけた。プレミア価格ではあったが、24歳になった私なら買うことができた。

久々に見るテリィは相変わらずかっこよくて、惚れ直してしまった。ストーリーの面白さも色褪せない。やはり、この名作は令和にも残るべきだと強く感じた。

そして、ネットで買った堀江美都子のレコードに針を落とし、「♪ そばかすなんて…」より先の部分を聴く。

 わらって
 わらって
 わらって キャンディ

 なきべそなんて さよなら ね
 キャンディ・キャンディ

作中で数多の悲劇を乗り越えたように、『キャンディ・キャンディ』がもう一度世に出てきて欲しいと願うばかりである。

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