日米協力「住民配慮を」 安全保障ウェブセミナー 山本氏ら議論

 平和・安全保障研究所は6日、オンライン上で沖縄安全保障ウェブセミナー「米中『新冷戦』と日米同盟」を開いた。琉球大の山本章子准教授や村井友秀東京国際大特命教授らが米中対立が日本の安全保障に及ぼす影響などについて語り合った。山本氏は「中国に対抗して日米で協力していくなら住民に対する配備の配慮が必要だ。軍備の議論が先行している」と指摘した。住民保護の制度整備ができていないことや日米地位協定の問題を挙げた。 司会の村井氏からローテーション配備による負担軽減について問われ、山本氏は「県庁内にもさまざまな議論がある。司令部はいいが訓練は減らしてほしいという妥協案も政策ではなくオプションとしてはある」と語った。

 村井氏は「県民は沖縄戦の経験から、戦争が起きた場合のコストの大きさを考え、基地があることの不都合によるコストと比較しないのか」とも質問した。山本氏は「日本軍は守ってくれないというのが住民の歴史的な教訓だ。戦争を起こさないことが重要で、できる限り軍備が集中しないのが望ましいという発想になりやすい」と説明した。

 同志社大の村田晃嗣教授は沖縄について「現状は米軍と地元の摩擦が強いが、米軍基地内にある学校に英語を学ぶなどポジティブなアセット(利点)を地元と共有して共存のモデルケースにできないか」と語った。

 前統合幕僚長の河野克俊氏、朝日新聞の峯村健司編集委員らも出演した。

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