東日本大震災から10年 救え震災孤児!夢を支援するチャリティーコンサート

未曽有の大災害となった東日本大震災から間もなく10年を迎える中、震災で親を失った子どもたちをずっと支援し続けている活動があります。チャリティーコンサートを通じて子どもたちの夢を応援しようとする、作曲家・三枝成彰さんたちの活動を取材しました。

東日本大震災は大好きな父親を一瞬で奪っていきました。そして、一家の大黒柱を突然失った家では母親が働きに出たり、中には生活が逼迫(ひっぱく)したりする家庭も相次ぎました。

子どもたちの可能性が狭まりそうになった時、ある取り組みが一筋の光となりました。作曲家の三枝成彰さんが親を失った子どもたちのために立ち上げたのが、幅広い人たちが出演するチャリティーコンサートでした。震災以来これまで7回開催されていて、演歌歌手の氷川きよしさんも無償で参加しています。その甲斐もあって、2019年には1600万円を超える義援金を震災遺児に寄付しています。三枝さんは「どちらかの親が亡くなると、残されたもう一人の親は仕事で帰ってくるのが遅くなる。その時に勉強を見てあげる、塾に行かせる、あるいはバレエやピアノなどの習い事といった費用を出したいと、取り組んできた」と語ります。

この取り組みのおかげで、子どもたちは夢に向かって頑張っているようです。お父さんが津波に流された数間さくらさんは歌手になることが夢です。一度は諦め掛けていましたが、このお金でダンススクールに通っています。数間さんは「将来はアリアナ・グランデみたいな歌手になりたい」と夢を語ります。お父さんと一緒にジャズを演奏したかったという伊藤咲希さんは現在、英語を猛勉強中で、将来の夢はアメリカで演奏することです。お父さんとよくキャッチボールをしていたという小林哉斗君は乗馬クラブに通うことができました。馬が大好きという小林君は「馬に触れていると癒やされます。馬とずっと触れ合えるから乗馬の指導員になりたい」と目を輝かせ、目指しています。悲しみに負けず、夢に向かって歩き出した子どもたちのことを、天国のお父さんたちも東北の空からきっと見守ってくれていることでしょう。

三枝さんは「われわれ日本人は"災害の上”に住んでいると言っていい。このような震災は70~80年に1回、また起こるだろう。そういう時にお互い、助け合っていかなければと思う」と訴えます。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止となったチャリティーコンサートは、震災から10年となる今年は開かれることが決定しました。場所は東京・赤坂のサントリーホールで、日本がその記憶を胸に刻み、決して風化させてはいけないその日、3月11日に開催されます。

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