ママ友容疑者が5歳男児の葬儀代まで詐取の疑い なぜ洗脳の支配から抜け出せないのか?

捜査を行う福岡県警

福岡県篠栗町で昨年4月、5歳だった男児が餓死した事件で、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された母親の碇利恵容疑者(39)から知人の赤堀恵美子容疑者(48)が詐取した金に、死亡した三男翔士郎ちゃんの葬儀代が含まれていた疑いがあることが7日、分かった。

捜査関係者によると、翔士郎ちゃんの死後、碇容疑者には葬儀代を含む公的扶助が支給された。赤堀容疑者は死亡の約2か月後に架空の裁判手続き名目で碇容疑者から現金を詐取したとして、昨年12月に起訴された。

生活保護費や児童手当などもだまし取ったとして起訴されており、総額は1000万円を超えるとみられる。

碇容疑者は翔士郎ちゃん死亡後に県警の任意聴取を受けた。捜査員から、共通の知人が「ボス」であることや元夫の浮気など、赤堀容疑者が信じ込ませていた話がうそだったと説明され、初めてだまされていたことに気付いたという。

碇容疑者は赤堀容疑者から洗脳されており、翔士郎ちゃんに食べ物を与えていなかったのは、赤堀容疑者の指示だった。それにしても、葬儀代をだまし取られてまでも疑問を持たなかったのか。

警視庁元刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「中年女性で人を操るのが好きな人は昔から多い。ママ友同士で洗脳するのもよくある話です。こういうのは宗教と同じで、洗脳されてしまうと、その人間関係が崩れない限りなかなか抜け出せない。また、ペットが死んだりした時に我に返ることもある」と話す。

こうした洗脳は悩み事があるなど、気持ちが弱くなっている人が陥りやすい。北芝氏は「今は、ユーチューブでメンタルヘルスについて教えている人もいる。そういったコンテンツを利用して自分で気持ちの不安を取り除けるようになれば、支配しようとする人から逃れられる」と話す。

このような残酷な事件が二度と起こらないことを願いたい。

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