【弥生賞】馬匠渡辺「皐月賞はまだダノンザキッドが主役とは思うが…」

ダノンザキッド(手前)が初黒星を喫した弥生賞

【渡辺薫&柏木集保「私たちはこう見た」・弥生賞ディープインパクト記念】

渡辺 良馬場で5ハロン通過が62秒6というスローペース。1~3着馬はその緩い流れが明暗を分けたな。

柏木 3着ダノンザキッドは大きく評価を落とすものではないにせよ、死角が見えたという感じです。2番手グループと僅差になったというところでしょうか。

渡辺 中山も経験済みだし、今年初戦はあっさり決めてほしかったんだが…。ただ、今日は川田も構え過ぎた感じで、トライアル的な乗り方でもあったからな。

柏木(ダノンの父の)ジャスタウェイやハーツクライの産駒は、切れが問われたりして、クラシックの時期は案外なこともあります。5歳になって完成してくると違うんですけどね。それに(母系の)デインヒルも緩急や鋭さが求められる日本の競馬には合わない印象。そのあたりで足りないところがあるのかな?と思わせる一戦でした。

渡辺 タイトルホルダーは権利取りを狙った先手必勝策がうまくはまった感じ。ジョッキーのファインプレーだったな。

柏木 ドゥラメンテ産駒らしく、この馬もすごく良く見せます。(逃げるのは)権利を取るには危険な戦法でもありますが渡辺さんの言う通り、ジョッキーの思い切った騎乗は褒めていいですね。

渡辺 東スポ杯やホープフルSでのダノンとの差を逆転した。とはいえコースやペース、すべてがうまくかみ合った感も強い。シュネルマイスターも同様にルメールが皐月賞出走権を取る乗り方をしたのが大きかった。

柏木 シュネルマイスターの母はサリオスと同じドイツの長距離血統で、距離をこなせる下地はあるけど…。タイトルホルダーをかわせなかったあたり、距離が延びるのは決してプラスではないでしょう。

渡辺 ほかではソーヴァリアントの健闘が目立ったくらいか。テンバガー、タイムトゥヘヴンといった京成杯上位組の凡走はいただけない。

柏木 そう着差はないんですけどね。負け方も良くないし、評価を落とさざるを得ません。

渡辺 これでまずはトライアル1戦目が終了。牡馬路線はここまでめぼしい馬も出てきていないし、さっきも言ったようにまだダノンが主役とは思うが…。

柏木 僕はこの一戦で、さらに皐月賞が難しくなった印象です。

渡辺 若葉SやスプリングSなど、今後のレースをしっかりチェックしないといけないな。

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