2月の倒産件数が50年間で最少、「新型コロナ」関連倒産は月間最多の114件
2021年2月度の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は、件数が446件（前年同月比31.4％減）、負債総額は674億9,000万円（同5.3％減）だった。
件数は、2020年7月から8カ月連続で前年同月を下回った。8カ月連続の減少は、2015年4-11月以来、5年3カ月ぶり。2月としては1972年以降の50年間で、1990年の448件を下回り、最少を記録した。コロナ禍の支援策が、倒産の抑制に大きく働いている。
負債総額は、7カ月連続で前年同月を下回った。2月度としては1972年以降の50年間で、1973年（442億4,600万円）に次ぐ、3番目に低い水準。
負債が減少したのは、負債10億円以上は15件（同14件）と１件増加したが、同100億円以上の倒産は6カ月ぶりに発生がなく（前年同月ゼロ）、同5億円以上10億円未満は17件（同26件）、同1億円以上5億円未満は81件（同116件）と、それぞれ減少したため。
一方、同1億円未満は333件（構成比74.6％、前年同月495件）と7割を超え、小規模倒産を主体とした推移に変化はない。
2月の「新型コロナウイルス」関連倒産は、114件発生した。2020年10月の105件を超え、月間最多件数を更新した。また、2020年2月から累計が1,010件と、1,000件を超えた。
- 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が21件（前年同月31件）
- 形態別件数：破産が380件。法的倒産の構成比、9カ月連続で90％台
- 都道府県別件数：前年同月を上回ったのが6県、減少37都道府県、同数4県
- 負債別件数：負債1億円未満の構成比が74.6％、6カ月連続で前年同月を下回る
- 業種別件数：宿泊業は増加するも、飲食業、食品関連業は減少
- 従業員数別件数：10人未満の構成比が88.5％、2カ月ぶりに80％台
- 中小企業倒産件数（中小企業基本法に基づく）は445件で、2カ月ぶりに100％ではなかった
産業別 最多はサービス業他、10産業のうち8産業で前年同月を下回る
2021年2月の産業別は、10産業のうち、金融・保険業と不動産業を除く8産業で前年同月を下回った。
最多はサービス業他の129件（前年同月比35.5％減）。ただ、コロナ禍で緊急事態宣言の再発令で休業や時短営業を余儀なくされた飲食業が37件（前年同月63件）と減少するなど、6カ月連続で前年同月を下回った。
小売業は53件（前年同月比37.6％減）で、10カ月連続で前年同月を下回った。織物・衣服・身の回り品小売業（17→6件）、飲食料品小売業（20→12件）などで減少。
このほか、建設業73件（前年同期比38.1％減）が11カ月連続、製造業47件（同45.3％減）が10カ月連続、卸売業82件（同13.6％減）が6カ月連続、運輸業21件（同8.6％減）が4カ月連続、情報通信業19件（同5.0％減）が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
一方、不動産業19件（同11.7％増）は5カ月ぶりに増加した。
地区別 3カ月連続全9地区で前年同月を下回る
2021年2月の地区別件数は、3カ月連続で、全9地区で前年同月を下回った。
四国8件（前年同月比52.9％減）は、10カ月連続で前年同月を下回った。このほか、九州28件（同44.0％減）が8カ月連続、関東198件（同19.8％減）が7カ月連続、中部57件（同17.3％減）と近畿101件（同40.2％減）、中国18件（同51.3％減）が6カ月連続、北海道15件（同6.2％減）と北陸10件（同50.0％減）が4カ月連続、東北11件（同57.6％減）で3カ月連続で、それぞれ減少した。
東北と中国、九州は、1992年以降の30年間で最少だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
（株）枻出版社／東京都／出版業ほか／58億円／民事再生法 （株）万象ホールディングス／埼玉県／耐火材ほか製造／29億円／民事再生法 （株）コスメティック・アイーダ／神奈川県／基礎化粧品ほか製造販売／26億1,500万円／破産 ティーアンドピー（株）／東京都／飲食店経営ほか／25億円／破産 （株）中村環境／福島県／廃棄物収集運搬業／18億4,100万円／民事再生法
