〝森喜朗失言〟による想定外のムーブメント 東京五輪に吹く新たな風

橋本聖子会長

女性の地位向上などを目的に国連が定めた「国際女性デー」の8日、東京五輪・パラリンピック組織委員会は東京都、国、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)がジェンダー平等における共同ステートメントを発表した。

東京大会に出場する女性選手は全体の49%。史上初めてジェンダーバランスが取れた大会と言われ、競技スケジュールは男女の種目が同等になるよう確保。206の国内オリンピック委員会(NOC)に少なくとも1人の女性アスリートが出場することも五輪史上初めてだ。

この日、IOCのトーマス・バッハ会長(67)は「五輪ムーブメントはジェンダー平等のスポーツ界を創造する取組みの新たな節目となる。史上初ジェンダーバランスの取れた大会に向けて準備を整えています」と述べ、日本側の女性トップ3もそれぞれ声明を出した。

組織委の橋本聖子会長(56)は「東京大会を、後から振り返った時に、日本が大きく変わる転換点だったと言われるものにしていく決意」、丸川珠代五輪相(50)は「あらゆる分野において男女が共に参画し、女性の活躍が進むことは、豊かで活力ある持続可能な社会を生み出すとともに、あらゆる人が暮らしやすい社会の実現につながります」、東京都の小池百合子知事(68)は「大会を契機に、多様性と人権尊重の理念を社会に一層根付かせ、それをレガシーとして、より良い未来を創り上げていきます」とコメントした。

約1か月前、組織委の森喜朗前会長(83)は女性蔑視発言をキッカケに辞任。森氏からバトンを受け継いだ橋本会長は組織委の女性理事の比率を42%に引き上げ、小谷実可子スポーツディレクター(54)をヘッドにした「ジェンダー平等推進チーム」を設置するなど、様々な方策を打ち出している。

世界中からバッシングを浴びた〝森失言〟が、図らずも新しい風を吹き起こし、国内のジェンダー平等ムーブメントを生み出している。想定外とはいえ、一歩前進しているのは事実だろう。

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