【MLB】4球連続ストレートに表れた“駆け引き” ダルビッシュがOP戦初登板で得た収穫とは?

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ロイヤルズ戦に登板したパドレス・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

野茂氏直伝のスプリットは「ちょっとずつ上達しています」

■ロイヤルズ 4-3 パドレス(オープン戦・日本時間8日・ピオリア)

パドレスのダルビッシュ有投手は、7日(日本時間8日)のロイヤルズ戦でオープン戦に初登板し、2回を投げ1安打無失点4三振を奪う好投を見せた。駆使した7球種で際立ったのは、最速96マイル(約155キロ)の伸びのある直球。球団のアドバイザーを務める野茂英雄氏からのアドバイスを参考にしたスプリットでも三振を奪った右腕は、唯一打たれたナックルカーブを「次はワンバウンドを投げられるように頑張ります」と反省点に挙げた。【木崎英夫】

登板を終え、オンラインでの会見に応じたダルビッシュは率直な感想を表した。

「周りのことに気を遣うこともなく、自分のペースで投げられたと思います」

相手打者の情報は詰め込まなかった。初めての実戦登板でやりたかったのは、自分らしく“実戦勘”を取り戻していくこと――。初球にストライクを取りカウントを優位にする投球も、頭にはなかった。「ただ好きなように初球から投げる」の意識で臨んだ。その好例が、96マイル(約155キロ)の外角高め直球で奪った2回の空振り三振。遊飛と遊ゴロで2死を取ると、7番マクブルームと対峙。カブスからともに移籍し、息の合うカラティニ捕手とたどった4球連続の直球をダルビッシュはこう振り返った。

「バッターは今日のアプローチを見ていても、僕の場合、変化球が頭にあるのでより真っすぐが効くのかなとは思います。あそこは、1球1球の反応を見て、次に何を待っているのかを予想したりしながら投げた結果が、全部真っすぐになったということです」

多彩な変化球にも対応しなければならない相手の心理を逆手に取った“駆け引き”は、これまで味方打者を相手にしてきた実戦形式の投球練習では到底味わうことはできなかった。

「これから良くない先発もあるでしょう」シーズン開幕へ抜かりない準備

野茂氏からの助言を参考に、今キャンプで試行錯誤を繰り返すスプリットは、走者を置いた場面で決め球にも使った。1回、2死から3番モンデシーに右前打を許し、打席に迎えたのは2019年に48本塁打を放ちタイトルを獲得している4番ソレア。カウント1-2からの外角低めに落ちる148キロで見逃し三振に仕留めた。

「試合の中で今日も良い球もありましたし、ちょっとずつ上達しています」

暴投になる危険性をはらんだ場面で、意図したところへ変化させた一投は、この日の大きな収穫になったはず。

気力も充実した。1回、先頭の好打者メリフィールドに対し、カウント2-2から外角低めに狙った155キロの直球がコールされず、ダルビッシュは一瞬、顔を背け悔しさを滲ませた。レイズからパドレスに移籍し、今季ダルビッシュと先発2枚看板を形成する2018年のサイ・ヤング賞左腕スネルは、3日のオープン戦初登板後にこう話している。

「(味方ではない)本当の打者と向き合うことで(勝負への)真の感情が湧いてくる。春は時間とともにそれを大きくしていかなければいけない。それが元の自分になれる唯一の手立てだ」

「まだ1試合目。これから良くない先発もあるでしょうし、今日は試合に投げられたことでホっとしています」。勝負勘を呼び起こす最初の作業を終えた右腕は8日、チーム初のオフデーで英気を養う。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)