泥酔不祥事から再起の世界王者・寺地拳四朗を独占直撃「引退も考えたが…恩返しのためにも勝つ!」

西村修の母校・錦城学園高で講演を行った寺地拳四朗

再起にかける胸中を激白だ! WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(29=BMB)が、同級1位・久田哲也(36=ハラダ)との仕切り直しのV8戦(4月24日、エディオンアリーナ大阪)に臨む。泥酔不祥事による日本ボクシングコミッションからのライセンス停止処分が明けて再始動の一戦。挫折を経てどんな変化を披露してくれるのか。プロレスラーで東京・文京区議会の西村修議員(49)との親交がきっかけとなり、同議員の母校である錦城学園高(東京)で講演会を行った王者を本紙が独占直撃した。

――昨年7月に泥酔して都内マンションに侵入し、他人の車をボコボコにする騒動を起こした

拳四朗:週刊誌にまで載ってネットで叩かれて、本当に人生終わった、引退だなというところまで追い込まれました。自分の人生でそんな経験をするとも思ってなかったんでダメージは大きかったです。

――それでも現役続行を決意

拳四朗:やめようと思えばいつでもやめられる。でも裏切ってしまった応援してくれる人に恩返しを考えた時、引退してしまったら返せるものがない。やっぱりボクシングで勝って活躍することが一番喜んでもらえるのかなと思って続けることにしました。

――恩返しの形とは

拳四朗:目標である(元WBA世界ライトフライ級王者)具志堅(用高)さんの13連続防衛の日本記録を超えることが、一つの恩返しの形になると思っています。

――日本記録を更新したら世界記録(元WBA世界ヘビー級王者のジョー・ルイスの25連続防衛)を目指す

拳四朗:負けなければいいわけだけど、現実感がまだありませんね。とにかく次の一戦に集中するだけです。

――ライセンス停止期間中に社会貢献活動を行った

拳四朗:文京区の吹上稲荷神社や護国寺の掃除、駒込駅周辺の掃除、ご縁のある福祉会社の社長が借りている千葉・四街道の畑の収穫の手伝いなどをやりました。最初は正直、面倒だなと思ったが、いざやってみると人のためになると考えられて楽しくなりました。良くない事件とはいえ、こういった経験をさせてもらえたという意味では、良かったと今なら思えます。

――挫折を経て心境にの変化

拳四朗:王者も普通のボクサーなんだと。以前は王者として有名になりたい、名前を売りたいという思いが強かったが、今はやるべきことをやって防衛を続けるだけです。

――お酒もやめた

拳四朗:おかげで朝起きるのが早くなり、生活リズムは正しく、コンディションも良くなりました。普通は敗戦の反省から改善するようになると思うけど、負けを経験せずに気づけました。チヤホヤされて少なからずテングになっていた部分もあったかもしれないし、やっぱり成功するだけではダメなんだと思えたのも事実。その面でも自分を見つめ直せましたね。

――ライバルと目されるWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(27=ワタナベ)のV3戦が米国で開催されるなどボクシング界は動いている

拳四朗:もともと他選手の試合もあまり見ないので。対戦相手の映像さえ、あまりに見なさすぎて最近ではトレーナーに強制的に一緒に見させられるくらいですから、焦りとかは全くないです。

――ボクシング面で変化はあった

拳四朗:以前は手や足のスピードを上げることにこだわっていたが、上げすぎて自分の動きを制御できなくなっていました。いつの間にか自分に合っていないスピードになって重心が浮いてしまっていた。そうなると強いパンチが打てない、動きでもスムーズに下がれなくなる。そこに気づけたのは大きいですね。

――久田は因縁の相手。日本王者時代にも対戦をキャンセルした過去も

拳四朗:1度目は世界挑戦のため日本タイトル返上という事情があったんですが…今回の件では申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ勝負は勝負。最高の状態をつくり上げた上で、試合に臨みます。恩返しのためにも勝つことが大事だと思っています。

© 株式会社東京スポーツ新聞社