福留と重なる佐藤輝明、和田毅に近い早川隆久 専門家が注目ドラ1を“診断”

楽天・早川隆久(左)と阪神・佐藤輝明【写真:荒川祐史】

早川のボールの出所の見にくさは成瀬、和田に通じるものがあるという

3月26日に開幕する今季のプロ野球。ルーキーでは楽天のドラフト1位・早川隆久投手(早大)、阪神の同1位・佐藤輝明内野手(近大)が注目されている。2月のキャンプで2人を視察した日米通算234セーブ右腕・小林雅英氏は、早川をソフトバンク左腕・和田毅投手になぞらえ、中日・福留孝介外野手と間違えたという佐藤輝をレイズ筒香嘉智外野手に勝るとも劣らないスケールを備えると評している。

即戦力左腕として昨秋のドラフト会議で4球団が競合した早川。2月の沖縄・金武キャンプで打撃投手を務めた模様を、小林氏は次のように評した。「ボールの出所が見にくいとすぐ思いました。急にボールが出てくるイメージ。投げ方は違いますが、成瀬(元ロッテ、現BC栃木)、和田(ソフトバンク)に近いものがあった。大きな武器だと思います」。

木更津総合高から進んだ早大で素質が開花。ロッテなどでNPB通算117勝を挙げ、メジャーも経験した小宮山悟氏が2019年に早大監督に就任したことも大きいという。自身も小宮山氏とロッテでプレーした小林氏は「投手として必要なあらゆることを(早川に)伝えていると思う。大学の段階でコミ(小宮山)さんから野球を教えてもらっていることは大きい」と語る。

今季の楽天は田中将、涌井、岸、則本昂と実力者4人を中心に先発ローテが組まれることが濃厚。ここに早川が加わればさらに勢いが増すと小林氏は指摘する。「早川君は起爆剤になる可能性がある。ローテに入って結果を残すとチームも勢いに乗る。それだけのポテンシャルがある投手」と期待を寄せる。

佐藤輝のスイングスピードは吉田正尚級とも評価

一方で同じく4球団が競合した阪神のドラフト1位にも度肝を抜かれたという。沖縄・宜野座キャンプでの姿を見て、最初は昨年まで阪神で背番号「8」をつけていた中日・福留孝介外野手だと思ったそうだ。「『8』を見て、最初は福留がいると思った。大学生離れした体格。それくらいの身体つきをしています」。

シート打撃を見てさらに驚かされたという。「スイングの速さは入団した頃の吉田正尚(オリックス)を思い起こさせました。久々に凄いなと、思い切り振れる新人が現れたと思いました」。

右から左へ強い浜風が吹く甲子園。左打者が本塁打を量産するのは難しい環境で、目指すべきは金本知憲氏のような打者だという。「ホームランは20本以上でいいというスタンスで打率と打点を重視していけば、スーパースター、ミスタータイガースと呼ばれるような選手になる可能性もあるのではないでしょうか」。

1メートル87、94キロの右投げ左打ち。打撃のスケール感はレイズ筒香嘉智外野手ともダブるが「彼よりも身体能力は高いと思います」と評する。両リーグの新人王候補がどんな働きをするか、注目される。(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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