女性比率、日本はなぜ低い? フランスとの比較で見えてくる課題とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。2月11日(木・祝)放送の「オピニオンCROSS neo」では、弁護士の金塚彩乃さんが“日本の女性比率”について述べました。

◆後進国だったフランスが世界で指折りの男女平等国に

フランス政府は、管理職に女性を登用しすぎだとしてパリ市に科していた9万ユーロ(約1,100万)の罰金を取り消しました。これはパリ市が2018年に新規登用した管理職は女性7割、男性3割だったためですが、これに対し女性大臣が「馬鹿げている」と批判していました。

そもそもフランスは男女平等に関しては後進国で、1965年まで既婚女性は男性の許可がないと仕事ができなかったり、口座も持てなかったりしたと言います。しかし、今やジェンダーギャップは15位に。

そこに至るまでにはさまざまなことがあり、例えば女性の国会議員を増やすべく「パリテ」と言われる制度や、2008年には企業もどちらかの性別が4割を超えてはいけないというルールを策定。そして公務員にも厳しい適用があるなか、2018年にパリ市が管理職に女性11名、男性5名を任命。これが問題視されたものの、全体を見ると女性管理職は5割にも満たず合法となったわけですが、金塚さんは「(フランスは)こういった努力の経緯がある」と言います。

一方、日本に目を向けてみると、2006年は80位だったジェンダーギャップが現在は121位に。そこには多くの原因があるものの、金塚さんは賃金格差にショックを受けたと言います。というのも、男性の2019年の1年分の賃金を稼ぐために、女性は2020年5月6日まで働かないといけないという試算が。さらには、2018年のデータによると、日本がこのまま何の対策も講じなかった場合、男女平等に達するのには238.53年かかるという試算もあると金塚さんは補足します。

◆男女平等を実現するために不可欠なこと

そんななか、金塚さんは男女平等を掲げる上で重要なこととして、「認知的不正義」の是正を挙げます。例えば女性というだけで信用してもらえなかったり、同じことを言っているのに男女で届き方が違ったりといったことで、これはダイバーシティの問題にも繋がり、「いろいろな課題があるが、一つひとつクリアしていかなければならない」と訴えます。

そして、問題解決のためには「政治が頑張らないと、個々人の努力では限界がある」と明言。例えばフランスでは首相がコロナ禍にメディア調査を指示。ロックダウンで誰もが自宅にいるのでテレビを観る機会が増えるなか、ジェンダーバイアスが強化されていないか、AI(人工知能)を使って男女がどのように扱われているのか70万時間分の番組を調査。さらには、メディアのなかで男女平等が達成されるとボーナスを支給するといったことも。

また、もともとフランスは男女賃金格差も大きかったそうですが、50人以上の企業は平等にするよう義務化。その上、自己診断のもと数値化し、公表させました。そうした努力により「かなり改善傾向があったと言われている」と金塚さん。

先般問題となった森喜朗氏の女性差別発言も構造的な問題と言われていますが、金塚さんは「これはもう自然には解消しない。政府や国会の強い意志が不可欠で、フランスもそれがあって大きく変わった」と言います。また、「『差別を差別として認識すること、遠慮なく怒ること』が広がっているのは心強い」と評価しつつ、やはり政治家の対応には不満があるようで「特に与党の人たちは、これが女性差別、人権問題と言う人がいない。私たちが"怒っている”ということをもっと受け止めてほしいし、差別という言葉を遠慮せず、使うべきときは使ってほしい」と望んでいました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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