元フィリーズの救援左腕・コーミエが53歳で死去 がんと闘病

日本時間3月9日、フィリーズはリアル・コーミエががんとの長い闘病生活の末、53歳で死去したことを発表した。コーミエは1990年代から2000年代にかけて5球団で合計16シーズンにわたってプレー。最も長く在籍したフィリーズでは左のセットアッパーとして活躍した。元同僚のジム・トーメイはコーミエについて「リアルは私が出会った人々のなかで最も活気に満ちた人の1人だった。彼がいなくなるのは寂しい。決して忘れることはないだろう」と語っている。

1967年生まれのコーミエは1988年のドラフトでカージナルスから6巡目指名を受けてプロ入り。1991年にメジャーデビューを果たし、翌1992年には早くも先発ローテーションに定着して10勝10敗、防御率3.68をマークしたが、2ケタ勝利を記録したのはこれが最初で最後だった。

その後、レッドソックスとエクスポズ(現ナショナルズ)を経て2001年からフィリーズに加入。2003年には65試合に登板して8勝0敗1セーブ、13ホールド、防御率1.70という素晴らしい成績を残した。2006年途中にレッズへ移籍し、メジャーでプレーしたのは2007年が最後。フィリーズで記録した363登板は左腕ではタグ・マグロー(463試合)に次いで球団史上2位となっている。

また、カナダ出身のコーミエはプロ入り前の1988年にソウル五輪、メジャーリーグの舞台から退いたあとの2008年には北京五輪にカナダ代表の一員として出場。後者のときは41歳になっており、同大会の野球では最年長選手だった。2012年にはカナダの野球殿堂入りを果たしている。

引退後も「元メジャーリーガー」のように振る舞うことはなかったという。子供の1人を連れてリトルリーグの練習に参加したとき、ほかの保護者に続いてコーミエも打席に入り、快打を連発。保護者の1人から「プレー経験があるのですか」と尋ねられ、ようやく「はい、元メジャーリーガーです」と答えたという逸話が残っている。

© MLB Advanced Media, LP.