【日本の美味探訪】心に残る奈良県のご当地グルメ3選

北から南まで全国47都道府県、日本には各土地の気候や文化に根付いたおいしいものがたくさんあります。この土地では何がおいしいの?ご自慢の郷土食は?旅に出たら、あなたの住んでいるエリアでは味わうことができない未知の美味を味わいたいですよね。あなたの旅がより楽しいものになるように、全国47都道府県各々のご当地グルメを3つセレクトしてみました。今回は奈良県です。

奈良県のおいしいものとは?

万葉集で「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」と謳われ、日本の始まりとして1300年の歴史を誇る「奈良県」。東大寺や興福寺、薬師寺など多くの世界遺産があり、春には桜のベールで山全体を包む吉野山など、一幅の絵のような美しい場所にあふれています。一番の魅力は、心がほどけてゆくようなゆったりとした時間の流れること。また、茶、うどん、清酒、まんじゅう、豆腐など、奈良は日本食文化の発祥の地。かつては高級酒の代名詞だった奈良酒、酒粕に漬けられた奈良漬け、茶をいただく茶粥、中国から伝来当時は固かった豆腐など、いにしえをしのぶ郷土食が今も残ります。

奈良県グルメはたくさんありますが、あなたがおさえておくべき美味とは?

■参照

奈良は日本の食文化発祥の地です 奈良市

https://www.city.nara.lg.jp/site/naranoshoku/50176.html

奈良市ほか

「柿の葉寿司」柿の葉で包まれた小さな幸せ

奈良県の郷土料理のひとつ、さばやサケの切り身を乗せた一口大の酢飯を、奈良県特産の柿の葉で包み、すし箱に入れて押しをかけた「柿の葉寿司」。夏祭りや秋祭りなどハレの日のご馳走として、吉野川流域を中心に作られ、江戸時代から現在に至るまで親しまれてきました。「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」と正岡子規が詠んだように、奈良県は柿の木の里。柿の葉は香りが良いだけでなく、ポリフェノールが多く含まれており、ポリフェノールには殺菌・抗菌作用、花粉症や糖尿病に効果があるといわれています。寿司を傷まないように保存でき、手を汚さない柿の葉寿司は、大勢の集まりのときはもちろん、旅先のお弁当にも向いていますね。

「柿の葉寿司」は見た目が地味なので、あまり印象に残らないかもしれませんが、食べてみると忘れられないおいしさ。香りの良い柿の葉を剥くと、脂ののったしめ鯖(さば)の寿司が現れます。口に入れると、しめ鯖の濃厚さと酢飯の爽やかさ、柿の葉の香りが広がり、絶妙なバランス。もうひとつもうひとつと、手が止まらなくなりますよ。

柿の葉寿司の種類は、鯖や鮭(さけ)のほか、鯛(たい)、鯵(あじ)、海老(えび)など各店により異なります。鯖が苦手でなければ、鯖の柿の葉寿司が筆者のイチオシです!小ぶりな柿の葉寿司だけでは物足らないあなたには、そうめんやうどん、そば、茶粥などとセットでいただけるお店もありますよ。

紅葉の「柿の葉すし」は芸術品のよう

紅葉の季節限定で販売される、艶やかな「紅葉柿の葉すし」は、芸術品のような美しさで大人気です。

■参照

「カキの葉」の魅力 奈良県

http://www.pref.nara.jp/43315.htm

柿の葉すし 季節限定、おいしい市松模様 奈良・桜井 毎日新聞

https://mainichi.jp/graphs/20171114/hpj/00m/040/001000g/1

https://youtu.be/Fp7H9C_tHrA

柿の葉すし手づくり講習会/奈良テレビチャンネル

【買える&食べられるところ】

柿の葉ずし ヤマト http://kakinoha.com

奈良のおいしい柿の葉寿司 ~柿の葉寿司店舗一挙ご紹介!~ 一般財団法人 奈良県ビジターズビューロー

http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/page/page_19.html

など

桜井市ほか

「三輪素麺」そうめん発祥の地

そうめん発祥の地といわれる、奈良県桜井市の「三輪そうめん」。歴史は現代から約1300年前の奈良時代を遡り、飢饉と疫病に苦しむ民の救済を祈願した時、神の啓示があり、三輪の里に小麦を撒き、その実りを水車石臼で粉に挽き、湧き水でこね延ばして糸状にしたものが、そうめんの起源と伝えられています。平安時代には宮中の儀式や饗宴に用いられ、江戸時代には「日本山海名物図会」(近畿を中心に各地の諸産業・物産などのガイドブック的なもの)で、「大和三輪素麺、名物なり、細きこと糸のごとく、白きこと雪のごとし」と記載されるほどでした。

口当たりがなめらかでコシが強く、老若男女が食べやすい手延べそうめんの製法は三輪から、播州(揖保の糸 現在の兵庫県)、小豆島(小豆島そうめん)、島原(島原そうめん)へと伝わり、全国へ広がりました。

冷やしそうめんは口当たりがよく、夏の食欲のないときにもスルスルといただけますが、温かくしたにゅうめんもおいしいもの。そのほか、極細パスタのエンジェルヘア(カペッリーニ)と同様にイタリアン風、チャンプルー風とおいしい食べ方がいろいろあります。

三輪そうめんのレシピ | 奈良県三輪素麺工業協同組合

https://www.miwasoumen-kumiai.com/recipe/

高級なそうめんとは

【古さ】

製造より一年寝かせた古(ひね)と呼びます。一般的に、古ものが高級。

【細さ】

三輪素麺には4種の細さがあり、細いものほど等級が高く、高価になります。

神杉(かみすぎ)120本以上/10g当り

緒環(おだまき)95本〜105本/10g当り

瑞垣(みずがき)80本〜95本/10g当り

当り誉(ほまれ)70本〜80本/10g当り

三輪そうめんの豆知識 | 奈良県三輪素麺工業協同組合より

https://www.miwasoumen-kumiai.com/faq/

■参照

日本山海名物図会 コトバンク

https://kotobank.jp/word/日本山海名物図会-858604

三輪そうめんの歴史 | 奈良県三輪素麺工業協同組合

https://www.miwasoumen-kumiai.com/history/

https://youtu.be/CavpL_IC9Dc

三輪素麵の歴史 | 奈良県三輪素麺工業協同組合

【食べられる&買えるところ】

三輪山本 https://www.miwayama.co.jp

奈良県三輪素麺工業協同組合 https://miwasoumen.stores.jp/

など

奈良市、橿原市ほか

奈良スイーツ

大同元年(806年)に弘法大師が中国より茶の種を持ち帰り、奈良の地に植えさせた「大和茶」など、素晴らしい日本茶がある奈良では、気になるスイーツが多くあります。

「よもぎ餅」つきたてふわふわ

興福寺や東大寺のある奈良公園に近く、地元客はもちろん観光客にも人気が高い「よもぎ餅」。店頭では驚くべき速さの餅つきが行われ、高速餅つき見物に人だかり。速く餅をつく理由は、やわらかくてよく伸びる、コシのあるおいしいお餅にするため。日本の文化である餅つきが、スピーディーな動きで見られるので、観光客は大喜び。

つきあがった柔らかいよもぎ餅にはあんこが入っており、きな粉がたっぷりかかっています。出来立てふわふわは、いくらでも食べられそう。つきたてのよもぎ餅を、ぜひいただきたいですね。

https://youtu.be/cGeUE9KK-es

中谷堂 高速餅つき/中谷堂餅つき

【買えるところ】

中谷堂 http://www.nakatanidou.jp

など

「葛餅(くずもち)」水晶のような透明感

奈良県吉野のブランド品「吉野葛」を使った葛餅(くずもち)は、水晶のような美しい和スイーツ。西日本と東日本では、同じ「くずもち」の名前でも、見た目も食感も異なります。西日本では、マメ科植物の葛の根から取れるでんぷんを精製した「葛粉」が原料で、透き通っており、つるりとした食感。東日本では、小麦を乳酸菌で発酵させた「小麦でんぷん」が原料で、乳白色をしており、もちっと弾力がある食感。

吉野葛の本場の奈良県でいただく葛餅や葛きりは、格別のおいしさ。繊細で涼やかなのど越しが、清涼感をよびます。そのほかの葛ソフトクリームや葛ぷりんなど、葛スイーツも魅力的。

葛根は生薬の主原料として発汗・解熱・鎮痙作用があり、風邪薬「葛根湯」にも使用されています。葛根に含まれるイソフラボンは、血中コレステロールの低下をはじめ、骨粗しょう症予防、更年期障害の緩和などに効果が期待できるともいわれています。おいしく食べて、健康になれそうです。

■参照

「くず餅」東と西で別モノ?(謎解きクルーズ)

奈良・吉野が本家 原料、良質で豊富 関東は葛使わず小麦発酵し製造 - 日本経済新聞 2015年3月28日

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO84578370Z10C15A3AA1P00/

https://youtu.be/EW5YQHmj0tQ

吉野本葛 天極堂 『吉野本葛の作り方』/吉野本葛天極堂

https://youtu.be/7CtkS403CNM

葛塾第3話「葛もちの作り方」/葛屋中井春風堂

【食べられるところ】

天極堂 https://www.kudzu.co.jp

吉田屋 http://www.yoshidaya-shop.com

など

■あわせて読みたい

極上のもちもち!「天極堂」が守り続ける貴重な吉野本葛がそろうカフェ【奈良駅】

「絶品かき氷」かき氷ファンは見逃せない

patisserie TRICO (C) atpress

かき氷通はご存じかもしれませんが、奈良県には絶品かき氷の名店が数々あります。何しろ、氷の神様を祀る神社 「氷室神社」があり、かき氷のお祭りが行われるほど、かき氷とは縁が深い土地。氷の品質はもちろん、かき氷に対する思い入れが異なります。

かき氷の聖地 奈良県で、きらめく宝石のようなかき氷を召し上がれ。

https://youtu.be/klOqgiCC7D4

興福寺中金堂の落慶を記念ひむろしらゆき祭/奈良テレビチャンネル

【食べられるところ】

絶品かき氷を食べつくす - うまし うるわし 奈良 - JR東海

https://nara.jr-central.co.jp/kankou/article/0164/

など

今回は、奈良県のご当地グルメの一部をご紹介しました。ご当地グルメには、各地の名産や文化が詰まっています。ぜひ、旅の思い出に味わってください。まだ出かけるのが不安というあなたは、通販で取り寄せできるお店もありますから、ご自宅で楽しむのもいいかもしれませんね。

注意:2021年3月現在の情報になりますので、店内での飲食ほか詳細につきましては、直接店舗へお問い合わせください。

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