若者はどこに投資している?平均年収は300~400万円、意外に堅実な投資スタイル

新型コロナウイルス感染拡大後、業績の伸びる企業・下がる企業の明暗が分かれました。小売・旅行・サービス業は大打撃の一方、IT・Web業界は好調です。このような不安定な社会状況下で、2021年2月15日、30年半ぶりに日経平均株価が3万円の大台を回復しました。

先の見えない状況下で、誰もが「給料以外でいかに収入を増やすか」に関心を持っているのではないでしょうか。今回は、情報収集に長けている18~25歳の若者が考える投資先に注目します。アフターコロナの社会を支えてくれるであろう、今の若者層が投資についてどんな見方をしているのでしょうか。

これらの調査結果を発表したのが、ソーシャルレンディングサイトや不動産投資型クラウドファンディング横断検索サービス「CrowdCross」を運営するネクストライフです。その中身を、ここで詳しく見ていきます。


回答者の年収はおおむね300~400万円

はじめに、アンケートに回答した18~25歳の学生・社会人100名の年収を見ていきましょう。

1位が「年収300万円未満」56%、2位が「400万円未満」24%です。1~2位を合わせると80%で、回答者の過半数を占めます。20代の平均年収は348万円なので、若者の平均収入層がアンケートに回答していることが分かります。

一方で、「年収1000万円未満」の高所得層も2%もいました。若者も年収の格差が広がっていることが分かります。

若者の半数が投資経験あり

次に、回答者の投資経験を見ていきましょう。

「投資経験がある」「投資をしていたがやめた」を合わせると49%で、半数に迫ろうとしています。このうち「投資をしていたがやめた」という人に理由を尋ねると、「お金があれば」「まわりにやっている人が増えれば」という回答がありました。

一方、ギリギリ過半数を超えた「投資経験がない」人はなぜ投資に一歩踏み出せないのでしょうか? 次に「投資経験がない」人の理由を見ていきましょう。

若者が投資しない理由は「勇気がない」、しかし興味あり

若者の約半数の「投資経験なし」の人が、投資をためらっている理由は次の通りです。

1位は「興味はあるが勇気がない」で、51人中22人でした。現在はしていないものの、後押しやきっかけがあれば投資してみたいと思っているようです。

また、「勇気がない」という理由の背景には、投資への不安感やリスクを避ける志向が見られます。その点において、4位の「損をするから」と5位「不況だから」という回答も、同様の志向によるものと考えられます。

そして、2位の「お金がない」については、まだ年収の低い若者であることに加え、小額から投資を始められるという知識が不足していることも原因でしょう。知識不足の点では、3位の「勉強する理由がない」も同様です。

若者人気NO.1は株式投資、続いて積立NISA

それでは「投資経験あり」と答えた若手は、どのような投資を行っているのでしょうか。投資先の人気ランキングを見ていきましょう。

43人中20名と、最も多くの人が株式投資を行っていました。2位の積立NISAと答えた8名の2倍以上の数です。株式投資は認知度が高い上に、10万円から買えて利益も見込めることから、投資初心者にも選ばれやすいようです。

また、2位の積立NISA、6位のiDeCoなど、ローリスク・ローリターンの投資に取り組んでいる人がいる一方で、3位FX、9位先物取引など、ハイリスク・ハイリターンの投資を行っている人もいました。全般的に若者は低リスク志向ですが、高リスクにチャレンジする人が一定数いることが分かります。

さらに、仮想通貨や不動産投資型クラウドファンディングといった新しい手法を行う人がいるのも特徴です。

「損失が起こりにくい」「少額で始められる」投資を希望

次に、投資経験あり・なしに関わらず、アンケート回答者の若者がどのような投資に取り組みたいと思っているか見てみましょう。

最も多かったのは「利益が少なくても損失が起こりにくい投資」で43名でした。ここでもローリスク志向が見られました。一方で、ハイリターンを求める「年利10%など、高い利回り」も9名。割合はローリスク:利回り=約4.7:1で、「ローリスク>利回り」の傾向が見られます。

次に多かったのは、「少ないお金から始められる投資」で32名でした。投資をしない理由として「お金がない」という理由を挙げていた人が多く、若者は投資に回す資金が十分でないこともうかがえます。他方で堅実さも感じさせます。

投資方法で重視するのはローリスク

次に、投資経験ありの若者が、投資方法の選択時に重視する条件について見ていきましょう。

最も多かったのは「リスクの小ささ」で、64名が選びました。一方、「利回り」と答えたのはその約半数31名です。

投資経験のある若手にとっても「ローリスク>利回り」の傾向があることが分かりました。ただし、前のグラフの投資未経験者を含めた結果と比較すると、低リスク:利回り=約2:1で、投資経験がある人の方がより利回りを重視していることが分かりました。

そして、2位「少ないお金から始められる」と3位「簡単に始められる」という回答から、若者にとって投資を始める敷居の低さが鍵となっていることが分かります。以上をまとめると、若手の投資傾向のキーワードは次のようになります。

〇ローリスク>利回り
〇敷居の低さ

全般的にローリスク志向ではありますが、投資経験を積むことによってより利回りを意識した投資先を選ぶ傾向があります。まずは、小額であまり手間がかからない方法で投資を始め、少しずつ利回りの高い投資先に移行していくという方法がよいのかもしれません。

若者の投資傾向は安定志向。「低リスク」「敷居の低さ」が鍵

若者はローリスクで、投資を始める敷居の低さを重視していることが分かりました。中年層以上の投資経験者のなかには、利回りも重視し、ハイリスク・ハイリターンの投資先を選ぶ人も一定数いますが、あくまでも副収入の一つとしてコツコツ稼いでいきたい人であれば、このような若者たちが考える投資への姿勢を参考にしてみると良いかもしれません。

コロナ禍によって不安定な社会状況だからこそ、会社からの収入だけに依存せず、自分で資産を形成していこうとする意識は大切です。確かに投資未経験者の場合、始めるまでのハードルは高く「お金に余裕ができたら投資してみよう」「一人で投資を始めるのが不安だから友達がやっていたら一緒にやりたい」と、先延ばしにするケースは少なくないのではないでしょうか。

しかし、収入を増やしたいと思うのなら、積極的に知識を得て、行動に移していくことが重要です。そういった点では、今回ご紹介した若者の投資観を参考に、少しずつローリスク・ローリターンでの投資を進めていくのが良いでしょう。

ステイホームが推奨される現在はチャンスです。家で何か新しいことを始めたいと思ったら、投資の勉強を始めてみるのはいかがでしょうか。

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